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 日本新薬(京都市)は26日、筋肉の力が衰える難病「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」の開発中の新薬について、製造販売の承認を厚生労働省に申請した、と発表した。患者の一部で、発症や病気の進行を抑える効果が期待される。

 薬を共同開発する国立精神・神経医療研究センターによると、この難病は遺伝子の変異が原因で、筋肉の細胞を支えるたんぱく質「ジストロフィン」が作れなくなり、筋力が落ちる。個人差もあるが、小学校入学前にうまく歩けなくなり、呼吸に関わる筋肉や心臓の筋肉も衰える。歩ける期間が1年程度のびるステロイド剤以外に、有効な治療法はない。男児が発症する最も頻度の高い遺伝性の筋疾患で、国内の患者は約4千人。

 開発中の新薬は、患者の遺伝子に働きかける核酸医薬と呼ばれる薬の一種で、筋肉の細胞でジストロフィンを作れるようにし、筋肉の状態改善をねらう。日本新薬は、国産初の核酸医薬品として承認を目指す。国の「先駆け審査指定制度」の対象になり、承認に必要な審査期間が短くなる。

 日本新薬によると、これまでの臨床試験で5~12歳の16人の患者に、24週にわたって週1回静脈注射したところ、大きな副作用はなく、14人で実際にジストロフィンが体内で作られていることを確認したという。

 病気の原因になる遺伝子変異の場所は、患者ごとに違う。新薬が効く遺伝子変異がある患者は、全体の約1割とみられるが、国立精神・神経医療研究センターの武田伸一理事は「病気の進行を遅らせることが期待できる」と話す。

 この病気の患者は最終的に心臓の筋肉が衰える。武田さんによると、今回の薬は心筋まで届きにくいが「全身の状態が良くなることで、心臓にかかる負担も減る可能性がある」。心臓に届く薬の研究も進める。

 今回の薬の効果は、ジストロフィン遺伝子の全79領域のうち、53番目の近くに変異がある場合に限られる。米国で2016年に承認された薬や、第一三共が開発を続ける薬は、他の領域を対象としている。(後藤一也)