[PR]

 履正社打線の振りは、最後まで鋭かった。1回戦から次々と好投手を攻略し、決勝は星稜・奥川の高めに来た球を逃さず、見事に捉えた。全6試合で2けた安打を記録。強打に支えられ、清水、岩崎の投手陣もぐんと成長した。昨夏の大阪桐蔭に続く優勝で、同一都道府県の2校による連覇は44年ぶり。大阪桐蔭と切磋琢磨(せっさたくま)した実力を、甲子園でもいかんなく披露した。

 星稜は反対に、奥川の投球に刺激されるように、打線が力を発揮し始めた。智弁和歌山との3回戦はタイブレーク2イニング目の延長十四回にサヨナラ本塁打で決着という、高校野球史に残る名勝負となった。北陸勢初の栄冠には届かなかったが、いつ頂点に立ってもおかしくないと感じた。

 ベスト4の明石商はスクイズや足技で接戦をものにし、中京学院大中京は個性的な4投手をつないだ。平成30年間で打撃優位の傾向が強まったが、1点にこだわる昭和の野球も捨てたものではない。習志野、作新学院が土壇場で決めた盗塁も鮮烈だった。

 履正社、星稜、明石商はエースを途中で1試合休ませ、中京学院大中京は継投策を徹底した。投球数制限の議論が進む中、投手起用に工夫を凝らすチームが多かった。近江の林をはじめ左腕では鳴門の西野、米子東の森下、右では旭川大の能登、高岡商の荒井、広島商の倉本らが変化球と制球力で打者を翻弄(ほんろう)した。手本となる投球だった。

 本塁打総数は48本。打撃優位は続いている。打球が投手の顔面を直撃する事故もあった。金属製バットの反発力をいま一度見直す必要がありそうだ。

 令和の新時代で迎えた第101回大会。スポーツマンシップを随所で感じた。花咲徳栄の菅原は投球が左肩付近に当たったが、「ぼくのよけ方が悪かった。死球ではありません」と球審と相手に謝り、次球で公式戦初本塁打を放った。

 星稜の投手に熱中症の症状が出ると、智弁和歌山の黒川は予防の粉末サプリメントを渡し、仙台育英の小濃は自分が飲もうと手にしていたスポーツドリンクを急いで届けた。敵味方を超え、相手を思いやる心温まるシーンだった。(編集委員・安藤嘉浩