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 22日に閉幕した第101回全国高校野球選手権大会。星稜(石川)がタイブレーク制の延長十四回、智弁和歌山にサヨナラ勝ちした3回戦は、記憶に残る名勝負となった。

 23三振を奪った星稜・奥川恭伸の投球数は165球。熱中症の症状が出て足がつりかけるシーンもあったが、選手の健康管理、障害予防に関する議論が進む中で、大きな批判は出なかった。

 その大きな理由は、星稜の投手起用だろう。奥川は7日(1回戦)に94球で完投した後、13日(2回戦)はリリーフで39球を投げただけ。そこから中3日で3回戦を迎えた。そこで165球を投げたが、翌日(18日)の準々決勝は他の投手陣が頑張って、奥川は登板せずにすんだ。

 20日の準決勝は7イニング87球で交代し、22日の決勝に臨んだ。ここから逆算して1週間の投球数は165球+87球+127球の計379球。「全力投球は週500球以内」という日本臨床スポーツ医学会の提言の範囲に収まった。優勝した履正社(大阪)の清水大成も準決勝で登板しなかったから、83球(17日)+124球(18日)+120球(22日)の計327球だった。

 組み合わせや投手の状態を見て、エース以外の投手で勝負する試合をつくる。複数投手を育成し、指導者が戦略を練れば、1人の投手に過度な負担をかけないようにすることができると実証した。

 レベルの高い私立校だからという反論もあるだろうが、上位進出や甲子園をめざすなら、エース以外の投手も育成しないと戦えない。そういう認識を、全国の指導者が共有することが大切だろう。

 1試合で165球投げたことはいいのか、という声も聞かれる。前後のケアと、指導者、本人の話し合いがしっかりしていたことが、大きな事故につながらなかった理由の一つと考えられる。

 星稜にとって3回戦は、奥川とチームの成長につながる貴重な体験となったはずだ。「どんなスポーツでも、10代のある時期に負荷をかけることで選手が伸びるという部分はある。その機会を奪うべきではない」と渡辺元智・前横浜高監督。そのためにも、過度な負担をかけない戦略や、選手と指導者、トレーナーの連携が欠かせない。

 日本高校野球連盟の「投手の障害予防に関する有識者会議」の議論はこれから大詰めを迎える。大いに参考になる夏となった。(編集委員)