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 東京電力福島第一原発事故の健康影響を調べる福島県の「妊産婦調査」について、県が震災10年になる2020年度末での終了を検討していることがわかった。これまでの調査で、妊婦や子どもに放射線による影響はみられないと判断し、今後は育児支援などにより力を入れる。

 妊産婦調査は、原発事故による健康への影響を確認する「県民健康調査」の一つ。11年度から、福島県内で母子健康手帳を受けた人など、毎年1万5千人ほどを対象に、アンケートで出生体重や育児状況などを調べてきた。

 その結果、早産や低体重児、先天異常などは、世界的な平均や原発事故前の県内の水準とも変わらないことがわかった。専門家らによる調査の検討委員会でも「事故の放射線による影響はない」と結論づけられた。

 これを受け、県が7月の検討委員会で20年度末での終了案を示し、今後の調査結果を踏まえながら、検討委で妊産婦検査をどうするか議論することになった。委員からも異論はなく、検討委としても議論に入ることを了承したという。ただ、11年度に妊娠・出産した女性にうつ傾向が強いなど、心理的な影響は残っているという。

 県の担当者は「事故直後には不安も強かったが、近年は育児の悩みなどへ相談内容が変化している。必要とされる支援を充実させていく」と話している。

 県民健康調査は11年6月から、被曝(ひばく)量の推計につながる事故当時の行動を調べる基本調査と、チェルノブイリ原発事事故で患者が増えたとされている甲状腺がんの検査や、心の健康度などに関するものなど、四つの詳細調査が行われている。(奥村輝)