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 日本には100万人以上の「ひきこもり」がいるとされる。hikikomoriという言葉は、海外でも知られるようになった。私たちの社会に存在する、ひきこもりを生み出す土壌とは――。

ひきこもり名人の勝山実さん、九州工業大学名誉教授・現代評論家の佐藤直樹さん、当事者発信ぼそっとプロジェクト主宰・ぼそっと池井多さんの3人に聞きました。

ひきこもり名人・勝山実さん「過剰な忍耐へストライキ」

 ひきこもりは、「現代の生存戦略」のひとつだと思っています。学校でも職場でも、過剰なまでに忍耐を強いるこの世の中では、命を守るために一定数の人がひきこもってしまうのは当然ではないでしょうか。

 私は中学までガリ勉で、高校は進学校に進みました。でも暗記の訓練ばかりで空しくなり、授業中に座っているのが苦しくなりました。不登校の末に中退し、大検に受かったものの3浪。大学をあきらめ、おでん工場やドーナツ店に勤めましたが、働いては苦しくて辞めることを繰り返し29年来ひきこもっています。

 学校でも職場でも、記憶力や忍耐力で人の優劣が決められる。それはほとんどの人にとって、つらいことです。そのうえ働いてみると、生きていくのに不可欠な衣食住やインフラのような「本当の仕事」は少ない。つまらない新商品や新サービスを作り出したり、終わらない会議をしたりするために、1人で何人分も働く必要があるのか。ひきこもりは、厳しく無駄の多い労働環境に対する「人間ストライキ」とも言えます。

 ネット上ではひきこもりに対し、「ごくつぶし」「ふざけるな」とバッシングのコメントがあふれています。たたく人たちは、自分も苦しく働いている人だと想像します。「自分の時間を捨てて一日中働いても生活費と家賃に消えるのに、あの人たちはずるい」と。その怒りは、本来なら経営者や社会に向けるべきなのに、弱い者同士で争い、ひきこもりを下に置いてしまう。自分の生活が苦しいと感じる人が多くなるにつれ、「稼げない人=価値のない人」といった生産性を至上とする声が大きくなりました。

 多くのひきこもりとその親は、そうした価値観を内面化しているので、一日中、働かない自分を責め、心はいつも張り詰めています。以前の私のように、親に「働け」「出ていけ」「誰のおかげで飯が食えるんだ」と言われ続けたらなおのこと。自分にも家族にも毎日否定され、病まない人がいるでしょうか。

 私は26歳で心が限界を迎えて…

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