拡大する写真・図版 訓練で風呂おけをかぶって避難する子どもたち=2019年1月、神戸市長田区の萬歳湯、原沢聡志さん提供

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 銭湯で入浴中に地震に遭ったら――。裸で無防備の状態でもパニックにならないように、避難の仕方や身を守るすべを学ぶ訓練が各地で広まっている。9月1日の防災の日に、大阪市の銭湯も訓練を実施する。

「防災銭湯」各地で広まる

 大阪市阿倍野区の「湯処あべの橋」。ターミナル駅に近く、日に数百人が利用する。おかみの森和子さんは「いざという時、従業員がお客さんを誘導できるのか心配」と、防災の日に訓練を実施すると決めた。

 営業中に地震が起きたと想定。従業員が客に避難を呼びかけ、脱衣場へ誘導する。森さんは「お客さん同士が助け合わないと大勢の避難は難しい。うまくいくか試したい」と話す。

 1945年に開業した神戸市長田区の「萬歳(まんざい)湯」は、今年1月に訓練をした。95年の阪神・淡路大震災の発生時は営業時間外だったが、木造2階建て銭湯兼住宅が全壊。半年後に再建した。

 昨秋に神戸市を直撃した台風21号では、営業中の午後8時ごろに停電。浴室に十数人の客が取り残された。店主の綿貫功一さん(60)は「暗闇の中で懐中電灯の置き場がわからず焦った」と振り返る。「いざという時に動けるように」と、訓練を実施した。

 近所の小学生ら約60人が参加。地震と停電を想定し、客はおけで頭を守り、綿貫さんはヘッドライトで浴室を照らした。ガラスなどの破片で負傷しないようにタオルを床に敷き、避難経路を確保した。綿貫さんは「阪神大震災の記憶も薄れつつある中、訓練を続けたい」と話した。

 「防災銭湯」と名付けられた訓練は、昨秋から大阪や東京で実施されている。全国の銭湯紹介サイト「銭湯・奥の細道」(http://1010meguri.blog.fc2.com/別ウインドウで開きます)の管理人で、銭湯巡りが趣味の原沢聡志さん(37)が企画した。

 原沢さんは2011年の東日本大震災で被災した銭湯の店主らと話し、経験が共有されず、対策に結びついていないと気づいた。知り合いの店主らに訓練実施を働きかけ、原沢さんも参加してリポートを関係者に配っている。「まず、やってみることが大切。訓練が広まっていってほしい」

「銭湯は社会的施設」

 銭湯は災害時に被災者の助けにもなる。自治体と地域の浴場組合の間で協定を結ぶ動きが広まっている。

 神戸市と市浴場組合連合会は、一昨年9月に協定を締結した。災害時、市内37軒の銭湯は被災者に無料で入浴してもらう。井戸水を使ったり、重油や薪(まき)で湯を沸かしたりする銭湯もあり、水道やガスが止まっても利用できる。

 阪神大震災では、被災を免れた市内の銭湯が被災者に開放された。同市長田区では住民が銭湯の水をバケツリレーで運び、消火に使った。市生活衛生課の担当者は「震災で銭湯の大切さを再認識した」と話す。

 昨年6月の大阪北部地震では、被災地域の住民を対象に、大阪府内で50軒を超す銭湯が無料開放された。府は災害時の無料入浴を柱とする協定締結に向け、府公衆浴場組合(371軒加盟)と調整を始めた。

 先進地は東京都だ。524軒が…

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