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 パリの世界遺産ノートルダム大聖堂であった火災をふまえ、文化庁は文化財の防火対策を充実させる。世界遺産や国宝・重要文化財(重文)の建造物の消火設備設置の補助などで、来年度予算の概算要求に今年度予算の4倍近い80億円を盛り込むことがわかった。

 文化庁は、自動火災報知機やスプリンクラー、放水銃などの消火設備設置や更新のために50~85%の補助をしている。耐震化も含め今年度は約11億円だったが、要求ではこれを54億円と大幅に拡大し、集中的な整備を目指す。火災で失われた場合にも備え、建物の設計図や写真のデジタル保存も進める。

 また、文化財の壊れた部分を撮影してデータを蓄積し、人工知能(AI)を使って傾向を分析する調査研究費を新たに盛り込んだ。

 これらをあわせた「災害等から文化財を護(まも)るための防災対策促進プラン」として80億円(今年度予算では21億円)を要求する。

 世界的な観光地でもあるノートルダム大聖堂で4月に起きた火災では、屋根や尖塔(せんとう)が焼失した。これを受け、文化庁が国宝・重文の建造物の防火対策を調査したところ、2割で消火設備が整備・改修から30年以上たって老朽化していることが明らかになっていた。自治体からは補助事業を充実してほしいなどの声が寄せられたといい、「文化財は火災などでいったん滅失してしまうと再び回復することができない」(伊藤史恵・文化資源活用課長)として対策を検討していた。(上田真由美)