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 市民の愛するシンボルが、雨漏りに悩まされている。神殿のようなデザインが特徴のCNAアリーナ★あきた(秋田市立体育館)のメインアリーナだ。巨大施設の修繕工事に向けた新提案もなされたが、その行方は定まっていない。

 「多目的ホールには大きな鏡もあるし、駐車場も広い。もし使えなくなったら、すごく不便です」。健康体操の活動で月2回ほど体育館を訪れる女性(69)は、施設の長所を連ねる。唯一の不満は、入り口の数が少ないことという。

 バドミントンの国際大会やプロバスケットボールチーム「秋田ノーザンハピネッツ」のホームアリーナとして使われ、日中には館内をジョギングする市民もみられる。昨年度は延べ約24万人が体育館を利用した。

 総事業費38億円超をかけた市立体育館が完成したのは、1994年。延べ床面積は1万1432平方メートル。体育館としては当時の東北最大級だった。

 そのモチーフは「縄文首都のオリンピア神殿」だ。当時の週刊誌「AERA(アエラ)」には、「縄文時代に海洋文化圏を形成していた秋田県の首都に、古代ギリシャで始まったオリンピックの精神をよみがえらせる」との文言と、「バブルの神殿」との声が紹介されていた。

 市によると、2012年の調査でメインアリーナ内の8カ所ほどに雨漏りを確認。18年には、さらに14カ所が確認された。

 雨漏りの地点は観客席や通路に集中し、観客席部の天井にはビニールシートをかぶせたり、通路にはバケツを置いたりしている。隣接するサブアリーナでは昨年度、1億6387万円をかけてステンレス製の屋根部分の工事などを実施。だが最大高さ47メートル、屋根の直径60メートル超のメインアリーナでは、さらなる大工事となる。

 8月に同市内であったインフラがテーマの会議では、東京の建設会社などが足場を組むのに10億円ほどかかると試算し、「代替策」を提示した。建物内に軽い鉄骨と膜でドーム形の屋根を新設するというもので、屋外に足場を組む必要がない。大まかな工事費を問われると、「2・5億~3億円が目安です」。

 ただ、市の担当者は「できるだけ早く対策に取り組めればいいんですが、まだ決まっていない」と話す。長期の施設閉鎖は利用者目線で難しい一方で、多額の費用も二の足を踏ませるからだ。現時点で具体的な修繕案は固まっていないという。市民のシンボルの行方に、注目が集まる。(神野勇人)