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 東海地方などで猛威を振るう家畜伝染病「豚コレラ」対策として、環境省はウイルスを媒介する野生イノシシの捕獲を強化するため、今年度より倍増となる約30億円の予算を新年度概算要求に盛り込む。山間部での生息密度を下げて感染拡大を抑えるとともに、感染経路の調査を強化する狙いだ。

 豚コレラは昨年9月、岐阜県で26年ぶりに国内感染が判明して以降、北陸や近畿で捕獲されたイノシシなどから陽性確認が相次いでいる。人に感染せず、感染した豚肉を食べても人体に影響がないとされる一方、豚やイノシシには強い感染力を持ち、感染すると高い確率で死に至るため、法律で家畜伝染病に指定されている。

 感染が確認された地域では、感染経路などを調べるために捕獲が行われているが、その実務は、環境省の「指定管理鳥獣捕獲等事業」の枠組みで交付金を受けた都道府県が委託した民間団体が主に行っているという。感染の広がりに対応して捕獲数を増やすため、予算増額を求める。

 また環境省は近く、狩猟愛好家らがレジャーとして行うイノシシ猟への対応を都道府県から聞き取る予定だ。猟を逃れたイノシシが拡散したり、狩猟愛好家が不用意に感染した肉を流通させたりする恐れがあるためだ。岐阜県は昨年度、狩猟愛好家らによる狩猟を制限している。同省は同様の対応も含む、都道府県レベルでの様々な対策の広がりを期待する。

 イノシシは全国で年間60万頭程度が捕獲されている。制度上は狩猟による捕獲と、その他の、農作物や人間生活への被害を防ぐ目的の有害鳥獣捕獲などに大別される。(松尾一郎)