同性への性的指向、特定の遺伝子なし 国際研究チーム
戸田政考
人間の性的指向と遺伝子の関わりについて、国際研究チームが約47万人の遺伝情報(ゲノム)を調べたところ、同性との性的行為に強く関わる単一の遺伝子は存在しないことが確認された。専門家は「性的指向は遺伝よりも、様々な要因が影響していることが示された」としている。
論文は29日、米科学誌「サイエンス」に掲載された。豪クイーンズランド大などのチームは、英バイオバンクや米企業が持つ両国など約47万人分のゲノムデータを元に、「同性と性的行為をした」などと答えた人と、そうでない人との違いを見た。
その結果、同性との性的行為に強く影響を与える単一の遺伝子は見つからなかった。一方、同性と性的行為をしない人との間には、一つ一つの影響は弱いゲノムの違いが5カ所見つかった。さらに微弱なものは多数あるとみられる。
こうした結果を元に遺伝子の影響を推定すると、英国で約8%、米国で約24%だった。過去の小規模な研究の結果とほぼ同じ傾向だった。
研究に関わった米ブロード研究所のベンジャミン・ニール氏は「今回の結果は(全体の結果を表すもので)一人ひとりの性的行為を推測するものではない」としている。
ゲノム解析に詳しい東京大大…

- 戸田政考(とだ・まさとし)朝日新聞記者
- 科学医療部記者。再生医療やゲノム編集などの基礎医学に面白さを感じ、現在は医療全般を取材。気候変動問題もライフワーク。フットサル年50回が目標。テンションとコレステロールは高め。