群馬)ダムに翻弄、こけしに投影 長野原の樋田さん

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丹野宗丈
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 「今までで一番笑顔のこけしだけど、もっとうれしそうな顔は描けないよ」。来春完成予定の八ツ場(やんば)ダム群馬県長野原町)に臨む川原湯温泉街で唯一の土産物店「お福」を営む樋田ふさ子さん(90)は、ダム建設に翻弄(ほんろう)された自身の人生を重ねたこけしを作ってきた。建設中止表明には驚きや怒り、建設再開には柔和な表情に……。体力の衰えから「このこけしが最後。締めくくりのつもりで描いてます」というふさ子さん。ダム完成を前にしても、こけしの笑顔にはふさ子さんの複雑な思いがにじんでいる。

 自家製の川原湯名物「名勝もなか」などを販売する店内で、ふさ子さんはこけし型の白木に、絵筆で顔や着物を丁寧に描いていた。「ダムの完成間近にこうしてこけしを作れるなんて。これまで長かったよ。私の人生、全部ダムだった」

 秋に予定されるダムに水をためるテスト「試験湛水(たんすい)」を前に、中断していたこけし作りを春ごろから再開した。今描いているこけしは3種類。それぞれ表情は異なるが、いずれも柔和な笑顔で「喜び」「祈り」「感謝」と書いた。「ようやくダムができる喜び、事故がないようにとの祈り、これまでダムに人生を左右されてきた私たちを支えてくれた人たちへの感謝の気持ちを込めたんです」

 最初にこけしを作ったのは2…

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