熊本)「水俣の悲劇二度と」条約推進ワークショップ始動

奥正光
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 国連環境計画(UNEP)と環境省は2日、2017年8月に発効した水銀に関する水俣条約の実施推進プロジェクトを立ち上げ、同日から熊本県水俣市ワークショップを始めた。開幕の式典では、初来日した同条約のロッサナ・シルバレペット事務局長が、アジア太平洋地域の同条約担当者らを前に講演した。

 同省によると、アジア太平洋地域の水銀排出量は世界の約半分を占める。プロジェクトは日本の水銀対策の経験・技術を活用し、各国の水銀に関するデータ蓄積や分析力を向上させることが目的だ。ワークショップには日本を含む同地域の計12カ国の約30人が参加し、4日まで、プロジェクトの今後の活動についての協議や水俣病資料館の視察などを予定している。

 ただ、ワークショップは「専門家会合」であることを理由に公開せず、この日の開幕式典だけを報道機関に公開した。

 シルバレペット事務局長は講演で「水俣条約によって世界は水銀で失われた多くの命を胸に刻み、1950年代後半に水俣で起きた悲劇を二度と繰り返さないよりよい未来に向かっている」と強調。「60年前の悲劇だけでなく、持続可能な都市へと変貌(へんぼう)を遂げるために努力とエネルギーが必要だったことも忘れてはいけない」と述べた。(奥正光)

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