浮かぶ姉の顔、捨てられない古雑誌 感謝込め筆を執った

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田中紳顕
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 家族や旅行の思い出がつまったアルバムも、旧制小学校のときの成績表や表彰状も。山田重好さん(92)=東京都八王子市=は桐(きり)だんすから一つ一つ取りだしては、破り捨てていった。

 妻に先立たれ、「終活」を始めて2年が過ぎたこの夏。ふと手を止めたのは、たんすの隅に一冊の雑誌を見つけたときだった。

 表紙は所々破れ、ページをめくると、いまにもちぎれそうだった。

 「大震災画報」。大正時代、東京にあった出版社が出した関東大震災の記録集だ。小学生のときに父からもらい、がれきと化した街並みや、焼け残った浅草の観音堂にすがる被災者の写真に目を奪われ、繰り返し開いたものだった。

 しばらく眺めた後、山田さんはたんすに雑誌を戻した。脳裏には、21年前、75歳で亡くなった姉・静さんの笑顔が浮かんでいた。

 「シゲ、買い物行ってきな!…

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