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 大阪市港区の自宅で6月、4歳の男児に暴行して軽傷を負わせたとして、府警は2日、20代の母親を傷害容疑で書類送検し、明らかにした。母親は自ら大阪市こども相談センター(児童相談所)に相談していたが、警察の関与を巡って、府警と児相側の見解が異なり、府警は裁判所で令状を取る対応で児相から資料を入手したという。

 港署によると、母親は6月8日早朝、港区の自宅で、息子の全身を電気コードや洗面器でたたき、約2週間の軽傷を負わせた疑いがある。母親と息子の2人暮らしだった。

 捜査関係者によると、母親は8日、市の児相に自ら連絡し、「息子を虐待してしまう」と相談。府警は4日後に児相から、この母子の警察での取り扱いについて問い合わせを受け、事件を認知したという。

 府警は全身にあざがあったとの児相からの情報から、捜査すべきか否かを判断するため、児相が把握した母子に関する資料の任意提出を求めたが、断られたという。

 児相の担当者は任意提出を拒んだ理由について、まだ母親からの相談段階で、男児のけがも骨折や頭部の負傷といった重大事案ではないと判断したと説明。担当者は「今回の件に限らず、児相としては相談を寄せた家庭との信頼関係を大切にしている。法的な裏付けがないまま詳しい資料を警察に出すと、保護者が相談を控えてしまうケースがある」と話した。

 府警はその後、裁判所から資料の差し押さえ許可状を取り、児相が所有する母子の資料を押収。府警幹部は「男児の状況を勘案し、捜査を尽くすべきだと判断した」と話した。

 2017年12月に起きた大阪府箕面市の4歳児の虐待死事件を機に、大阪府が管轄する府内6カ所の児相では昨年8月から、軽傷の場合でも児相に寄せられるすべての通告内容や初期対応の結果を、府警と情報共有している。大阪市が管轄する児相では虐待の危険性が重大な場合に府警と共有する運用になっている。

 山梨県立大の西澤哲教授(臨床福祉学)の話 協力すべき警察と児童相談所の間に溝が生じた。令状で差し押さえる前にもっと話し合えなかったのか。軽傷と児相が判断しても、命の危険があった可能性は否定できない。どのタイミングで情報を共有し、連携するか。具体的な議論が必要だ。