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 三重県伊賀地域とゆかりが深い忍者の研究の第一人者、三重大人文学部の山田雄司教授(52)=日本古代・中世信仰史=が監修した新刊「戦国 忍びの作法」(G.B.)が出版された。山田教授は「三重大の最新の忍者研究を生かした本。多くのイラストを使って分かりやすく説明しており、子どもも楽しめる」と話している。

 伊賀地域は山に囲まれ、戦国時代に織田信長の軍勢に攻められるまで、統括する武将がいなかった。そのため抗争が絶えず、修験者をルーツにする特殊な術を持った「農民武装集団」が育った。それが後に、「忍者」と呼ばれるようになったとされる。第1次天正伊賀の乱(1578~79年)では、信長の次男・信雄(のぶかつ)の軍勢約8千に対し、夜襲や奇襲を繰り広げた伊賀衆は約1500の軍で勝利したと伝えられている。

 新刊は「暮らしの作法」「忍術の作法」など4章で構成。忍者の代表的な武器は手裏剣という印象が強いが、武士も携帯していて、「忍者専用ではなかった」という。そのうえ、「特殊な武器の手裏剣を所持していると怪しまれるため、忍者は使わなかったという説もある」と記している。山田教授は「忍者が手裏剣を使ったという史料は確認されていない」と話す。

 忍者は夜明けとともに起き、午前中は農業などの家事に従事。昼食はとらず、午後から日が暮れるまで武芸や弓、馬などの訓練に励んだという。「半農半士の暮らしのなかで、口伝される忍術や火薬の調合法、忍具のつくり方を大切に守り通した」と紹介している。

 映画や漫画に登場する女忍者の「くノ一」については、「女忍者を最初に配下に置いたのは武田信玄と言われている」と解説。その一方で、「忍者が活躍した時代に女忍者の存在に言及した記録がなく、そもそも女性の忍者は実在しなかったという説もある」と指摘している。

 また、忍者の天敵については「大声でほえる犬」と記載。そのため「忍び込む屋敷に番犬がいる場合、木の種子から毒薬をつくり、焼き飯と混ぜて犬に食べさせた」と紹介している。

 伊賀では他国から攻められたときに備え、「伊賀惣国一揆(いがそうこくいっき)」と呼ばれる共和的な自治組織をつくっていたとされる。新刊ではこれを「世界初の議会制民主主義?」とし、「忍者はフランス革命より約200年も早く議会制民主主義を実現させていた」と記している。

 山田教授は「忍者の精神的な側面も多く紹介している。この1冊を読めば、どんな任務を果たしていたのかがよく分かるのではないか」と話している。

 190ページ。税別1600円。書店やネット通販などで購入できる。

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