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乳がん新薬つながる発見かも 母を亡くした九州大准教授

渡辺純子
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 ホルモンの働きを乱すとされる化学物質が、乳がんの新しい薬になるかもしれない――。母を乳がんで亡くした九州大の研究者らが、そんな研究成果を英科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。

 乳がんは女性ホルモンのエストロゲンが過剰に分泌されることで悪化するとされている。このホルモンを抑える物質を探していた九大大学院理学研究院の松島綾美准教授(42)らの研究グループは、ビスフェノールAという物質がエストロゲンを受けとめるたんぱく質に付くことに注目した。

 プラスチックに含まれるビスフェノールAは、生物の体内でホルモンのように働いて悪影響を及ぼすと言われる。似た化合物を調べるなかで「三環系ビスフェノール」が、このたんぱく質とより強くくっつくことでエストロゲンの働きを阻害することを発見した。

 松島准教授が中学生のとき、母親が乳がんになった。大学生のときに母の病室でホルモン剤を見て興味を持ち、研究を続けてきた。「母の治療には間に合わなかったけれど、10年後か数十年後、この基礎研究が乳がんの新しい治療薬につながり、患者の役に立てたらうれしい」と話す。(渡辺純子)