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 子どもへの絵本の読み聞かせを通じ、認知症を予防しよう――。東京都狛江市が、そんな狙いで高齢者向けの講座を開いた。読み聞かせを続けることで、記憶をつかさどる脳の部位の萎縮が抑制されるという。講座修了後も自主的な活動を促し、健康づくりに役立ててもらいたい考えだ。

 「どの本が一番楽しかった?」。9月初旬、市庁舎の会議室。市内の60~70代の女性23人が四つのグループに分かれ、絵本数冊を子どもに読み聞かせるという設定で講座に挑んだ。受講者は身ぶりを交えて自己紹介したり、交互に絵本を朗読したり。

 今春以降、原則として週1回、読み聞かせインストラクターの熊谷裕紀子さん(69)らから絵本や感情表現などを学んできた。この日は最終段階のグループ発表会だった。発表を終えた黒沢かつ子さん(76)は「完璧ではなかったが、練習してきたかいがあった。修了後も技術を磨き、読み聞かせのボランティアをやりたい」と語った。

 講座は市が東京都健康長寿医療センター研究所(板橋区)に委託して実施した。研究所は文京区や練馬区などからも同様の講座を受託している。

 市や研究所によると、受講を通じて高齢者の認知機能の維持向上が図られ、講座修了後も読み聞かせを続けることで、認知症予防などの効果が期待できるという。そのため、受講者が講座修了後に保育園や学校などでボランティアとして活動できるように支援もする。研究所の鈴木宏幸研究員(38)は「読み聞かせは自分のためになり、地域貢献にもつながります」と話す。

 市は2017年度に講座を始め、これまでに1、2期の男女計約40人が受講。修了者の一部は実際にボランティアとして活動している。国などによると、全国の18年10月時点の高齢化率は28・1%。36年に33・3%、65年には38・4%に達する見込みだ。認知症の高齢者も12年の462万人から25年には700万人に増えると推計されている。

 市の保健師として高齢者に接する中山真紀子さん(45)は「認知症の発症を遅らせ、長く元気で活動的な日常生活を送ってもらうことが重要。要介護にならず、支え手でいてもらえれば、社会保障費の抑制にもなります」と話している。(河井健)