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 ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会の開幕(20日)まで、あと1週間。五輪、サッカーW杯に次ぐ世界3大スポーツイベントの一つとされるが、15人同士が攻防を繰り返すラグビーは、ルールが難解でわかりにくいイメージが強い。そこで、テレビ中継で頻出し、戦術の肝でもある専門用語「ブレークダウン」と「アンストラクチャー」を手がかりに競技を読み解いてみた。この二つの言葉を大づかみに理解できれば、よりラグビーを楽しめるようになるかも――。(森田博志)

ブレークダウンとは

 世界の名選手が選ばれる「ラグビー殿堂」に日本選手で初めて入った往年の俊足ウィング、坂田好弘さん(76)は京都・洛北高に入学し、楕円(だえん)球と出あった。「ボールを持ったら走ればいい。ボールを持ってる選手がいたら捕まえろ」。監督に言われ、訳も分からず試合した記憶を講演などで語る。

 「ルールも知らずやっていた。走ったり、ボールを蹴ったり。自由にやりたいプレーをできるのが自分に合っていた」と振り返る。

 ルールは細かいが、やってみれば何とかなる。こんな経験をした選手は多い。ルールを完全には把握できていないトップレベルの選手もいる。そんな現実を知れば、見る側も少しは肩の力を抜いて観戦できるのではないだろうか。

 誰にもわかりやすい醍醐(だいご)味の一つがタックルだ。ボールを持って走る選手を体を張って止めるプレー。そして、倒れた選手が地面に置いたボールを両チームで奪い合うのがブレークダウンだ。

 タックルされた側は攻撃を続けるため、防御側はボールを奪って反撃に転じるため、ここでのボール確保に力を注ぐ。押しくらまんじゅうのような密集の中で、互いがブルドーザーのように体を駆使して相手を押しのけ、ボールに絡もうと力比べや駆け引きを繰り広げる。「接点の攻防」とも言われる状況だ。

 試合の流れを左右するブレークダウンに、日本代表はこだわりを持って取り組んできた。プロップ稲垣(パナソニック)は「接点で相手をボールに絡ませない。特にクリーンアウト(密集に入ってくる相手選手をはねのけるプレー)を心がけている」。密集に入るタイミングや角度まで細かく約束事があるという。

 相手防御が整う前に攻めるには、密集からボールを出す素早さも欠かせない。

 防御側の選手がブレークダウンでボールを奪い取るプレーは「ジャッカル」、そして攻守が入れ替わる局面は「ターンオーバー」と呼ばれる。専門用語が並ぶと途端にわかりづらくなるが、要は、肉弾戦を制してボールを勝ち取ったチームが、より多くチャンスをつかめるということ。ブレークダウンは「格闘技系球技」の原点でもある。

■アンストラクチャ…

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