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 身近な人を自死で失った遺族らの夜間電話相談が10日夜から設置される。父親や妻子を自死で失った遺族らが中心になり、名古屋市に7月、遺族支援のNPO法人「After the Rain」を設立。世界自殺予防デーの10日、活動を始める。

 理事長の高木繭子さん(51)も27年前、父親を自死で失った遺族。誰にも言えず悩んだ。後にいのちの電話の相談員をし、さらに自死遺族に特化した団体立ち上げを思い立った。心理カウンセラーや大学教員、弁護士ら14人で発足した。遺族限定の電話相談は珍しい。講演会やサロン、サークル活動も計画している。

 電話相談は、毎週火曜日の午後10時~翌朝午前4時。ナビダイヤル(0570・017・222)、LINE(IDはaftertherainjapan)で受け付ける。遺族らによる相談のほか、故人の借金など金銭トラブルについてはメンバーの弁護士らが応じる。問い合わせは同NPO(052・961・6609)へ。

「安心して話せる場」必要

 「結婚する時にも言えなかった」。9日、自死遺族支援のNPO設立の記者会見で、理事長の高木繭子さん(51)は父親の自死を話せなかった経験を語った。15年ほど前、カウンセリングの勉強で入った大学の実習で話したのが最初。このとき、安心して話せる場作りの大切さを感じた。

 活動のきっかけは、2年前、岐阜県で自死遺族の自助グループの代表を務める木下宏明さん(65)との出会いから。木下さんも妻や一人息子を相次ぎ、自死で失っている。当時、自身も精神的に追い詰められたが、「自分まで死んだら、嫁や息子がぎりぎりまで生きたことを伝えられなくなる」と奮い立たせてきた。ただ関係者限定の遺族会運営にとどまらず、社会に働きかける場を求めていた。今回、木下さんも理事になった。

 団体名は、英語で「雨上がり」を意味する。人生の雨上がりの空を一緒に見上げる仲間を目指そうとの思いでつけた。

 国内では一時に比べ減ったが、現在も1日当たり60人余が自死している。4、5人の親族がいるとすると、毎日300人近くの遺族が発生していることになり、サポートが必要だという。NPOは遺族はじめ、活動参加者を募集している。(伊藤智章)