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 東京スカイツリー(東京都墨田区)の手すりに点字で物語を記し、視覚障害者と目の見える人がともに読み進めようというイベントが11月に予定されている。企画した団体が、手すりに書く短編物語を募集している。今月20日まで。

 北区で鍼灸(しんきゅう)院を開く内田勝久さん(50)は、日頃から点字を利用している。友人で福祉文化プランナーの坂部明浩さん(58)と街中を歩いていた時、階段の手すりの点字を読みながら、ふと思いついた。

 「壁のポスターみたいに、手すりにも点字で読める物語があればいいのに」「長い手すりなら東京タワーだ」

 そんな雑談がきっかけで2000年、東京タワーの外階段の手すりに物語を点字で記し、視覚障害者が目の見える人とペアになって読み進めるイベントを開いた。「普段は文字を読んでもらうことが多いが、点字だと立場が逆になる」。下から上へ、点字を読みながら階段を上っていく様子ともかけて「天(あま)の尺(じゃく)」と名付けた。

 点字は通常かな表記のため、文字数が多くなり、例えば漢字かな交じりの500文字の文章を点字にすると約4メートルの長さになるという。そんな点字の特性を、手すりアートにして楽しむ試みだ。06年には荒川区西日暮里の石段「夕焼けだんだん」でも開催。そして今年、東京スカイツリーでの開催にこぎ着けた。今回のテーマは、葛飾北斎の没後170年にあわせ、「富嶽三十六景」から大きな波で有名な「神奈川沖浪裏」などの4作品。応募者は1作品を選び、イメージを500字以内の短編物語にする。

 「天の尺」実行委員会が十数作品を選び、点訳。11月に、スカイツリーの天望回廊の手すりを60~70メートルにわたって点字の物語で飾る。墨田区が16年、すみだ北斎美術館の開館を機に始めたアートプロジェクト「すみゆめ」の一環。

 内田さんは「目が不自由だとなかなか高さを感じることができないが、点字物語を読みにスカイツリーに行ってみよう、と思う機会になれば」。坂部さんは「町工場から、病院の窓から、色んなところから見える『我が町のスカイツリー』と思って応募してほしい」と話す。

 応募はメール(amanojaku634@gmail.com)で受け付ける。詳細はホームページ(http://owarai.to/amanojaku634別ウインドウで開きます)。(荒ちひろ)