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 ほかの車の走行を妨げるといった「あおり運転」の対策のため、警察庁は道路交通法を改正する方針を固めた。関係規定の罰則強化と、現行法では規定されていないあおり運転にあたる行為を新たに定めることを検討する。来年の通常国会への改正案提出を目指す。

 現行の道交法にあおり運転そのものの規定はなく、警察は様々な法令を駆使してきた。主には道交法の車間距離保持義務違反(罰則は高速道路が3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金、一般道が5万円以下の罰金)を適用。ほかに急ブレーキ禁止違反(3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金)、追い越しの方法違反(同)、進路変更禁止違反(5万円以下の罰金)なども適用した。より悪質な場合は、相手の運転者に心理的に恐怖を与えたなどとして刑法の暴行罪(2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金など)や、自動車運転死傷処罰法の危険運転致死傷罪(負傷は15年以下の懲役、死亡は1年以上の有期懲役)などで摘発してきた。さらに茨城県の常磐自動車道で8月にあった事件では、蛇行や割り込み、急ブレーキなどを繰り返し、車を無理に止めさせたとして、県警は全国初とみられる強要容疑で男を再逮捕した。

 警察庁は、車間距離不保持など道交法の関係規定の罰則強化や違反点数の引き上げを検討。あおり運転にあたる行為を道交法に新設し、その規定で取り締まりができるようにすることも視野に入れている。ほかの車の走行に危険を生じさせたり、停車を余儀なくさせたりといった行為を対象にしたい考えだ。新たに定める行為の罰則は暴行罪より厳しくすることを検討している。

 あおり運転は、2017年6月に神奈川県の東名高速で起きた事故をきっかけに社会問題化。あおり運転により停車を余儀なくされたワゴン車が後続の大型トラックに追突され、夫婦2人が死亡し、姉妹がけがをした。警察庁は事故を受け、昨年1月に全国の警察に摘発強化を指示し、昨年の車間距離不保持での摘発は前年の1・8倍の1万3025件に上っていた。ほかに殺人1件、傷害4件、暴行24件、自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致死傷罪の妨害目的)25件を適用した。(八木拓郎、編集委員・吉田伸八)