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 男子プロバスケットボールのBリーグ1部(B1)は3日、4季目のシーズンが幕を開ける。過去2季、頂点を争ったチャンピオンシップ(CS)決勝の顔ぶれは変わらず、2連覇を果たした王者アルバルク東京と千葉ジェッツだった。この「2強」の構図を今季こそは崩そうと、追いかける各チームが着実に戦力を整えた。熱いB1になりそうだ。

栃木から名称変更し再スタート

 初代王者の栃木ブレックスは、今季から名称を宇都宮ブレックスに変えて再スタートを切る。3季ぶりの王座奪還に欠かせないのが比江島慎(29)の働きだ。

 三河時代の2017~18年シーズンにリーグ最優秀選手に輝いたが、18~19年のレギュラーシーズン出場は29試合で、先発はわずかに7試合。1試合の平均得点は9・9にとどまり、Bリーグ3季目で初めて2桁を割った。

 昨季は栃木に移籍後、海外挑戦を認められ、夏から豪州へ。チームに復帰したのが19年1月だった。戦術になじめず「足りないものばかりで、チームを勝たせられなかった」。CS準決勝で千葉に屈した。

 今季は主力の顔ぶれが変わらず、監督もそのまま。比江島は「チームのために動くところを意識したい」と順応に自信を見せる。

 今夏は日本代表の一員としてワールドカップ(W杯)を戦った。チームは、世界選手権時代を含め5回目の出場にして初めて白星を挙げられず、5戦全敗で大会を去った。比江島自身も、初戦のトルコ戦で無得点に抑えられるなど苦しんだ。「自分の未熟さを知った。この悔しさで、自分を奮い立たせたい」

 取り組むべき課題は見えている。ドリブルでゴール下へ切り込みシュートを狙うプレーに磨きをかけることだ。「W杯のコートでしか感じられない高さやスピードに触れられた。ドリブルの技術を上げたり、相手をかわすためのステップの回数を増やしたり、出来ることはまだある。日本ではぶっちぎりのレベルに達したい」。肌で感じた世界基準を糧に、さらなる飛躍を誓う。(清水寿之)

三河は積極補強し攻撃力に自信

 「僕たちも『新チームにいるんじゃないか?』という感覚」と在籍5季目の加藤寿一キャプテン(25)。昨季、CS進出を逃したシーホース三河が、積極的な補強で攻撃力を増し、強さを取り戻そうとしている。

 身長203センチで動きと力を兼ね備え、新潟で2季連続B1得点王のダバンテ・ガードナー(28)、昨季は日本出身選手の総得点2位で勝負強い元日本代表の川村卓也(33)ら新加入は7人。残った6人には総得点日本出身選手1位の金丸晃輔(30)がいる。3人の昨季の1試合平均得点を合計すると61・1。得点力の高さが伝わってくる数字だ。

 単純な足し算にはならないと選手も分かっている。川村は合流した当初、「オフェンスの渋滞」と表現した。「勝手にみんながゴールに向かえばバラバラになる」という意味だ。鈴木貴美一(きみかず)ヘッドコーチ(HC)も「いい選手が5人集まっても『オレがオレが』ではマイナス。1試合の攻撃回数はだいたい決まっている中で、チームとして、その場面で一番いい選手で攻めるのが大事」と練習試合を増やし、実戦で互いの特徴やタイミングなどを知る機会を作った。

 優勝したアーリーカップ東海では9月16日の決勝でガードナーが37得点。序盤、名古屋Dの防御に苦しみながらも尻上がりに得点を増やし、「どのチームでも自分のプレースタイルは変わらない」と自信を見せた。川村は「昨日(の準決勝)はガードナーに頼りすぎたので改善した。まだ渋滞しているところはあるが、徐々に交通整理ができて(攻撃が)流れ始めている」と手応えを感じた。

 昨季新人賞に輝いた岡田侑大(ゆうた)(21)、熊谷航(23)ら若いガード陣に加わった長野誠史(24)も、アーリーカップで得点能力の高さを見せた。防御に課題が残るものの、鈴木HCは「どうしてもディフェンスを休んでしまうが、それを上回るオフェンス力をつければいい。僕も昔はディフェンスを重視した玄人好みの試合をやっていたが、点を取ると見ている人も楽しい。速攻でもインサイドでも何でもできるバリエーションを増やしていく」。前身のアイシン時代から率いて25年目、60歳の言葉もノリノリだ。

 一昨季はリーグ記録の17連勝などレギュラーシーズン最高勝率だった「常勝軍団」。開幕から琉球、千葉、宇都宮、A東京など難敵が続く10月を乗り切って自信を取り戻すと、怖い存在になりそうだ。(松本行弘)

2強の現状は

 「2強」の現状はどうだろう。

 3連覇に挑むA東京はCS最優秀選手に選ばれた馬場雄大(23)が、米プロNBAへ挑戦するため退団。竹内譲次(34)ら代表勢が残るが影響はある。

 そのA東京に2季続けてCS決勝で敗れた千葉は、司令塔の富樫勇樹(26)ら主力のほとんどが残る。注目の新戦力は米国育ちで日本国籍を持つフリッピン・コー(23)。身長190センチでガードもこなすアウトサイド寄りの選手だ。外国人選手の多くがセンターに置かれるBリーグに新たな刺激を与えそうだ。

 昨季CS準々決勝敗退の川崎はファジーカス・ニック(34)が今季も柱。昨季中地区を制した新潟にも安定感がある。3季連続CSに出場した琉球は主力の半分を入れ替え、初の決勝進出をめざす。(松本麻美)