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(11日、プロ野球 西武4―1ソフトバンク)

 三回2死満塁。首位攻防戦で迎えた好機で、西武の森は開き直っていた。

 「あんまり打てない投手だと思っていたので、とにかく積極的にいこうって」

 初球。低めのシンカーをとらえる。右翼線へ、走者一掃の3点適時打。この一打が試合の流れを大きく引き寄せた。

 ソフトバンクの下手投げ右腕、高橋礼をどう攻略するか――。今季1勝4敗、防御率2・70と抑え込まれてきた変則投手について、試合前、西武の選手たちは口々に言っていた。

 「速球が浮き上がってきて、手前で動く。速球を待つと、差し込まれる」

 逆に、変化球の球種は「全部頭に入っていた」と森は言う。殊勲の一打を本人は「来た球を打とうと思っただけ」と振り返るが、赤田打撃コーチの見方は違う。「カウントに応じて狙い球をしぼった打撃ができる。天才的ですよ」

 捕手として、守備はまだまだ粗い。ただ、森は「高校時代から、それが当たり前やと思ってきたので」と苦にしない。打撃で取り返せる強さがこの24歳にはある。

 8月だけで30打点と大暴れ。自身初の月間MVPに輝いた勢いとともにチームは上昇し、最大で8・5ゲームあった差を逆転してついに今季初の首位に立った。12日に勝てば優勝へのマジック11、引き分けでも12が点灯する。この夜は守っても1失点で「こういう試合ができたのは、バッテリーにとっても大きい」。2連覇を狙うチームの中心に、森がいる。(照屋健)