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 9日午後、南米ブラジルの北部パラ州。世界最大の熱帯雨林アマゾンの東部に位置する人口約10万人のアルタミラから、先住民保護区のバカジャへ車で向かう途中、木々の向こうから白い煙が見えた。

 煙が上がる場所に着くと、木々や下草が焼け落ち、くすぶる倒木や切り株から焦げた臭いが漂う。森の中に直径50メートルほどの「黒い穴」が開いたようだった。近くにも同じような「黒い穴」があった。

 地元住民によると、焼け跡を農地や牧場にする目的で、何者かが違法に伐採して火を放ったのだ。アマゾンには私有地と国有地が混在しているが、占有を続けて「自分の土地」と主張する人が後を絶たない。

 アマゾンは南米9カ国に広がる。広さは約550万平方キロ。ブラジルにはその約60%がある。例年7月~10月上旬は乾期で森林火災が多いが、今年は大規模な森林火災が頻発し、現在も続く。ブラジル国立宇宙研究所によると、1~8月の焼失面積は、ブラジル国内だけで4万3千平方キロ以上に及ぶ。九州より広く、昨年1年分を超えた。

 その要因に挙げられるのが、今年1月に就任したボルソナーロ大統領のアマゾン政策だ。低迷する景気を回復させると訴え、環境保護より開発を優先させた結果、違法伐採や放火の横行につながったと環境保護団体は非難する。特に地球温暖化への影響が心配されており、8月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)では議長国フランスのマクロン大統領がアマゾン火災を主要議題に取り上げ、総額2千万ドル(約21億円)の緊急支援を決めたが、ボルソナーロ氏は受け取りを拒否した。

 内外の非難を受けて、ボルソナーロ氏は8月下旬、60日間の野焼き禁止令を出した。だが、野焼きで畑作を続けてきた人々は複雑な思いだ。バカジャに隣接する小村イタタでカカオ畑を持つジョアキン・シウバさん(54)は、「野焼きをしないと、私たちは生きていけない」と憤る。

 イタタは金を採掘するために来た人々が居着いてできたが、20年ほど前から金が採れなくなった。今では住民の多くは熱帯雨林を野焼きで畑に変え、農業を営む。シウバさんもその一人だ。「都会に出ても仕事はないが、ここには自分の畑があり、生きていける」

 アルタミラを拠点とする環境保護NGO「シングー・ビボ・パラ・センプリ(シングー川は永遠に生きる)」によると、アマゾン破壊の仕組みはこうだ。①開発業者が貧しい人々を木こりに雇い、木材として輸出できる木を違法伐採して販売②輸出できない木も伐採して地元で安く販売③木がなくなると、放火する人が現れ、跡地を牧場や農地にする。同NGOメンバーのアナライジ・バルボザさん(50)は「この仕組みを変えない限り、違法伐採や森林火災はなくならない」と訴える。

 匿名で取材に応じた環境保護担…

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