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医の手帳・ロコモティブシンドローム(1)

 皆さん、歩きはしっかりしていますか。ふらついたり、杖に頼ったりしていないでしょうか。歩きがおぼつかいのはロコモかもしれません。

 ロコモとはロコモティブシンドローム(運動器症候群)の略称で「運動器の障害のために移動機能の低下を来した状態」です。運動器とは「骨、関節、軟骨、脊椎(せきつい)・脊髄(せきずい)、筋肉、靱帯(じんたい)、腱(けん)、神経など」の総称です。人間は運動器を思い通りに動かして、歩く、立つ、衣服を着脱する、食事をするなどの日常生活での動作を行っています。けが、病気や使い過ぎ、あるいは過度に使わないことにより運動器障害がおこります。まさに「ロコモ」の状態です。

 加齢はロコモの大きな原因です。年をとると骨や筋肉は減ります。関節の軟骨は摩耗し、靭帯や関節包も変性します。脊椎では骨や椎間板(ついかんばん)が変性し神経を圧迫します。この結果、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や骨折、変形性関節症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄(きょうさく)症や、筋肉減少(サルコペニア)を来します。

 多くの方は「年をとると足腰が弱るね」、「足腰が痛くなったり、うまく動かなくなったり、年をとったなあ」と実感されると思います。運動器の障害は身近で、日々の生活動作に直結をしていることがよくわかります。運動器を丈夫にするロコモ対策は他人の手助けを必要としない自立した生活を送る上で最も重要なものです。

 運動器の障害は実は子供にも見受けられます。運動不足あるいは過度のスポーツ活動などで手足の骨や関節、筋肉、腱、靭帯や背骨を痛める子供もいます。現在、小中学校の学校健診では運動器検診があり、手足や脊柱の状態をチェックしています。まさに「子供のロコモ」の検診です。成長期の子供の運動器疾患や障害を早期に発見、治療をすることで運動機能を取り戻し、成長を健やかに導きます。子供の時からロコモに注目して対応するのは重要です。(新潟大学大学院医歯学総合研究科 遠藤直人教授<整形外科学>)