「俺を野に放つと…」 幹事長交代、首相は危険を感じた
石井潤一郎
穏やかならざる秋の人事である。長期政権の総仕上げに向かう安倍晋三首相の胸中はいかばかりか。
9月11日午前、東京・永田町の自民党本部。臨時総務会で幹事長続投が正式に決まった二階俊博氏(80)と首相は、互いに手をつないで笑みを浮かべた。二階氏はその後の記者会見で「党役員人事も内閣改造も、安倍総理の考えはしっかり反映された形になっている」と述べた。
円満人事を強調した首相と二階氏。だが、その過程では激しい攻防を繰り広げていた。
二階氏を続投させるか、否か――。内閣改造・党役員人事で、首相の最大の悩みは二階氏の処遇だった。
「党内を抑えられるのは、老練な二階氏しかいない」「自派閥の優遇が過ぎる。ポストを私物化している」
参院選を終え、人事の検討に入った首相の耳に届く評価は、真っ二つに割れていた。
3年前の夏、歴代最高齢で幹事長に就いた二階氏の連続在職日数は、8月初旬には歴代最長を更新した。首相周辺では、高齢などを理由に交代を求める声が大きくなっていった。
そんななか、首相を当惑させ…