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 東京電力福島第一原発の事故発生から8年半が過ぎた。炉心で溶け落ちた核燃料の取り出し開始は10年以内の目標に向けて作業が進むが、30~40年後とされる「廃炉完了」の姿は今もはっきり示されていない。ふつうの原発と同じように更地に戻すのか、一部の施設は敷地に残るのか。困難な現実を直視した議論に踏み出すべきだという声が、原子力を支える「身内」からもあがり始めた。

溶けた核燃料、取り出し多難

 「溶融燃料を全量取り出せる確証はない。どこまで取り出したら廃炉が終了するかは、地元との話し合いで決めたい」

 8月初め、東電の定例会見で廃炉について聞かれた広報担当者が口にした発言に、記者たちはざわついた。「全量取り出し」にこだわらないとも解釈できる内容で、「困難だが、現時点で諦める必要はない」としてきた東電福島第一廃炉推進カンパニーの小野明代表の説明と微妙に違っていたからだ。会見後すぐ、別の担当者が「小野の発言が社として正式な回答」と火消しに走った。

 福島県は事故直後から、県内の全原発の廃炉と放射性廃棄物の県外撤去を訴えてきた。国と東電は2011年12月に発表した廃炉工程表で「10年以内に溶融燃料の取り出しを開始し、30~40年後に建屋等を解体して廃炉を完了する」と明記。「全量」取り出すとも、施設を全て撤去して「更地に戻す」とも約束していないが、その可能性に期待をもたせる、あいまいなスタンスを維持してきた。

 溶融燃料の取り出しは廃炉工程…

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