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 水の都として知られる世界遺産のイタリア・ベネチアが水没の危機にさらされている。高潮が押し寄せたサンマルコ広場で観光客が渡し板を歩く姿は、毎年のように繰り返される光景になった。(ベネチア=河原田慎一)

 高潮の頻度が増している。住宅に浸水被害が出る110センチ以上の高潮が1980年代に年平均2・6回起きていたのが、2017年までの10年間は年平均8・2回に。ベネチア市の高潮対策センターによると「水位が65センチ上がるとゴミ収集船が、95センチで救急船が橋につかえて入れない」。住民には死活問題だ。

 旧市街は、海水と淡水が混じる水深の浅い潟に木の杭を打ち込んでつくられた街だ。中心のサンマルコ広場が最も低く、サンマルコ寺院の大理石の柱がたびたび海水につかった。市などは寺院の周りの地下にバルブを設置して水が上がらないようにしたり、広場の床板を積んだりした。だが全危険地域で対策をとるには費用がかかりすぎる。

 市の規則で、新築の場合は海抜1・5メートル以下に住むことが禁止され、多くの人は2階以上に住む。運河にかかる橋の階段の上り下りは高齢者には楽ではない。40年前に約10万人だった旧市街の人口は、約5万人に減った。

 国立地球物理学火山学研究所などの研究は、ベネチアの平均海面が2050年に最大約42センチ、2100年には最大約108センチ上昇すると想定する。これに満潮時の上昇分が加わる。地盤沈下も年間数ミリ進む。アドリア海の最も奥にある立地条件、アフリカ大陸からの南風の影響が重なり、深刻な浸水被害が心配されている。昨年10月には156センチの高潮を記録。120センチを超えると、渡し板も流されてしまう危険な状態だ。

 「ベネチアを人の住めないテーマパークにはしたくない」。国立環境保護研究所(ISPRA)のマウリツィオ・フェルラさん(60)の危機感は住民共通の思いでもある。

■水位上昇を防ぐ「モ…

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