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 和歌山県紀の川市の集合住宅で10日の明け方、火事が起きた。住民や近所の人たちは寝静まり、人通りもない。あわや大惨事という状況を救ったのは、2人の新聞配達員だった。

 「火事かもしれない。見に行ってもらえないか」。午前4時ごろ、朝の配達を終えて同市の朝日新聞サービスアンカー(ASA)打田の事務所で片付けをしていた配達員、本多加津彦さん(48)と高橋勝弘さん(46)は、牛乳の配達で現場近くを通った女性から頼まれた。

 現場は本多さんがかつて担当していた地域。事務所からも近く、高齢女性が一人暮らしをしている家だった。バイクで急行し、1分ほどで到着。玄関脇の窓からは、1階が燃えているのが分かった。玄関は鍵がかかっていたが、窓は開けることができた。「考える間もなかった」という2人。高橋さんが部屋に入った。

 室内は煙が充満していた。半畳ほど火が広がっていたが、窓近くにあった蛇口から水をくみ、本多さんとバケツリレーをして数分で消火。住民の高齢女性は2階で寝ていたが、2階にまで煙は広がっていた。消火後に高橋さんが女性を救助し無事だった。

 女性は火事に気付いておらず、窒息の可能性もあったという。また、近隣住民も異変を知らず、被害がさらに広がっていたおそれもあった。高橋さんは「大したことなかったのが何よりです」。本多さんは「窓が開いているなど偶然が重なって良かった」と話した。(藤野隆晃)