「夢のリサイクル」ごみ発電に幕 累積赤字30億円にも
2人が死亡する爆発事故が2003年に起きた三重県桑名市の三重ごみ固形燃料(RDF)発電所が17日、17年近くに及んだ稼働を終えた。ごみが電気を生む「夢のリサイクル」として県が売電事業を誘導したが、割高な負担を嫌った参加自治体が脱退した。見通しの甘さから多額の赤字を生んだ発電所は、その解体にも税金が投じられる。
17日午前11時7分、桑名市多度町にある発電所2階の「焼却発電監視室」に設けられた発電出力を示すモニターに「ゼロ」の数字が映し出された。確認した男性作業員が「ただいま発電終了を確認しました」と周囲に伝えた。このあとも作業員らはボイラー冷却など後処理の作業を続けた。
RDF発電所による売電事業の収支は、2018年度で約6億円の赤字。12年度から5年連続で黒字を出したものの、18年度までの累積赤字は約24億円に達し、今年度末は6年ぶりに30億円を超える可能性がある。解体費は少なくとも10億円と見込まれるが、着工時期は未定という。
RDF発電は、生ごみなどを砕いて乾燥、成型した固形燃料(RDF)を燃やして電力を生む仕組みだ。高温で燃やすため有害なダイオキシン類が出ず、売電収入も見込めるとして、北川正恭知事時代の2002年12月に県が発電所を稼働させた。県内26市町村(平成の大合併後は14市町)が事業に参加し、市町村が持ち込むRDFを県企業庁が焼却する枠組みだった。
爆発事故が起きたのは、稼働翌年の8月だ。RDF貯蔵槽で発生した火災の消火活動中に爆発が起き、消防士2人が死亡する惨事となった。可燃性ガスを出すRDFを密閉空間で保管したことが原因とされ、県の事故調査専門委員会は「RDFの危険性を把握しないまま事業を進めた」として県の責任に言及した。
一方、事業の負担金をめぐり、県と市町村の間で対立が続いてきた。
県は当初計画で、市町村が担うのはRDFの製造・運搬までとし、焼却・発電処理にかかる負担は「ゼロ」と説明していた。だが、電力自由化で売電価格が下がり、収支不足を補うためにRDF1トンあたり3610円の処理料を課して事業をスタートさせた。
売電収入が振るわず事故後の安全対策費もかさんだため、その後も県は段階的に値上げを実施。12年度に同7600円にするなどして市町側の不評を買うと、14年に志摩市、15年に松阪市が、自前のごみ処理施設を建てて事業から脱退した。処理料は17年度からは同1万4145円と、当初の4倍近くに膨らんだ。
赤字を出しつつも継続を望む市町の意向もあり、RDF事業は20年度末まで続く予定だった。だが17年、桑名市など4市町でつくる「桑名広域清掃事業組合」が、自前のごみ処理施設を建てるため今年9月にRDF搬入をやめると表明。その後、伊賀市も9月に搬入を停止する意向を明らかにした。合わせて搬入量の8割を占める両団体の脱退を受け、事業終了は17日に前倒しされていた。
鈴木英敬知事は17日午後…