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 1959年9月26日午後9時ごろ。愛知県半田市の市立半田病院には外来患者の行列ができていた。外の風雨は落ち着いていた。

 当直だった内科医の戸田安士(88)は、窓ガラスの破片が飛び散り、水浸しの院内から、外に椅子を出して診察した。最初の患者は、崖崩れに巻き込まれた男性だった。荷車に畳を敷いて寝かされた状態だったが、既に亡くなっていた。けが人のなかには、頭皮がめくれて骨がむき出しになっている人もいた。

 停電で暗闇のなか、患者の手当てを続けた。「看護婦が懐中電灯で手元を照らしてくれたのだろう」と記憶をたどる。麻酔薬がなくなり、麻酔無しの縫合になっても、叫んだりわめいたりする人はいなかった。戦場のような状況で、居合わせた人たちがみな静かに耐え忍んでいたのが心の救いだった。

60年前に日本列島を襲った「伊勢湾台風」。全国で死者・行方不明者は5千人超。そのうち、愛知、三重、岐阜の東海3県だけで約4700人を占めました。あの夜、何が起きたのか。被災者の証言を元に再現します。五回シリーズの第三回です。

 けが人の手当てが少し落ち着き…

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