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 消費税率が8%のまま据え置かれる軽減税率の導入で、外食では店内で飲食する税率10%の場合と、持ち帰りの8%の場合で価格が二つできることになる。この価格をどうするかで各社の対応は割れた。

 そもそも軽減税率の対象に「外食」を含めるかは、政府・与党内で激しいやりとりがあった。「生鮮食品」にとどめたい自民党に対し、幅広く認めたい公明党が反発。まず一部の加工食品、次に菓子と飲料にも対象が広がった。

 一時は外食も含める案もあったが、その場合、「高級料亭」も対象となるのは理解を得られないとの声もあり、酒類と「外食」を除く飲食料品で決着した。

 国税庁によると、「外食」とは「テーブルや椅子がある場所での飲食料品の提供」と定義され、持ち帰りは「飲食店が行っていても、単なる飲食料品の譲渡」と定められている。

 だが、同じ飲食品なのに店の内外で税率が異なる複雑な形に、外食チェーンは対応を迫られた。ある大手社長は「持ち帰りと店内飲食の対応など店側がすべきことが多すぎる。全小売店が迷惑しているのではないか。全く現場が分かっていない」と憤った。

 この結果、各社の価格設定は分かれることになった。モスバーガーや、ファミリーレストランのガストやバーミヤン、牛丼チェーンの吉野家は原則通り、店内飲食と持ち帰りで別々の税込み価格にすることにした。二つの税込み価格を並べるとわかりにくいため、持ち帰りと店内でメニュー表を分ける企業もある。

 一方、「わかりやすさ」を重視して店内と持ち帰りで税込み価格をそろえるチェーンも出てきた。その場合、主力メニューの税込み価格は据え置く例が目立つ。ケンタッキー・フライド・チキンは1ピース250円のオリジナルチキンの価格を据え置く。現在231円の税抜き価格を、店内飲食に限って227円に引き下げ、店内外の税込み価格をそろえる。

 牛丼チェーンのすき家や松屋も同様に調整し、主力の「牛丼」や「牛めし」の並盛りの税込み価格は維持する。

 原則通りに別々の税込み価格にしない企業の背景には、飲食業界を取り巻く環境の厳しさもある。人手不足による人件費や物流費の高騰、禁煙化への対応でコストがかさみ、利益を得にくくなっている。

 さらに、消費増税を機に外食への出費が抑えられる懸念があり、たとえ自腹を切っても主力商品の価格を維持して消費者をつなぎとめたい考えがあるようだ。

 一方、軽減税率によって、持ち帰りと宅配は店内飲食に比べて「お得感」が増すことになる。このため、ガストなどは自社でドライバーを確保し宅配を強化しているほか、飲食店の宅配代行サービスの「ウーバーイーツ」や「出前館」への参加企業も増えている。(長橋亮文)