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 2020年東京五輪の競歩会場に天幕を――。中京大の松本孝朗教授(運動生理学)の研究グループが19日の日本体力医学会大会(茨城県つくば市)で、こんな提言をする。

 東京五輪の大会組織委員会は今年4月、暑さ対策として50キロ競歩(8月8日)を午前6時から同5時半に前倒しする日程を発表。これを受け、松本教授らは、17年と18年の7月下旬から8月上旬に、同5時から同10時までマラソンコース1キロごとに測った総合的な暑さ指数(WBGT)を参考に、繰り上げられた時間で検証した。

 その結果、50キロ競歩で使われる2キロの周回コースのうち、マラソンコースと重なる二重橋付近のWBGTをみると、競技時間の約3分の2を占める同7時以降は、「厳重警戒」の28度以上か、「原則運動中止」の31度以上となり、「熱中症リスクはほとんど緩和されていない」という状態だった。

 一方、マラソンコースの中でビルに日光が遮られる気象庁前のWBGTを同じ時間帯でみると、約3度低く、「日射を遮る効果は大きい」と結論づけられた。松本教授は五輪に向け、昨年12月に日本医師会と東京都医師会が東京都の小池百合子知事に提案した競歩コース全体への天幕の設置を、改めて提言する。

 開始が午前7時から同6時に前倒しされたマラソン(女子が8月2日、男子が同9日)については、WBGTが最後の15分となる8時半以降を除いて25~28度の「警戒」にとどまり、「かなり安全性が高まった」と評価している。(編集委員・中小路徹