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 インドネシアの独立捜査機関「汚職撲滅委員会」(KPK)の根拠法である汚職撲滅法の改正案が17日、国会で可決された。KPKの捜査の原動力だった高い独立性を弱める改正であるため、同国で深刻な汚職問題が減らなくなってしまうとして、国民から反発の声が出ている。

 改正法は、KPK係官の身分を政府職員とすること▽大統領が5人のメンバーを選ぶ監督評議会を新設すること▽盗聴捜査では同評議会からの許可取得が義務となることを柱としている。ヤソンナ・ラオリー法務人権相は「人権を無視せず、腐敗防止と汚職撲滅を進める狙いだ」と説明し、ジョコ大統領も承認していると表明した。ジョコ氏には拒否権行使を求める声も出ていたが、法案の一部修正を求めるにとどまった。

 KPKは2002年に発足した。1998年まで長期政権を敷いたスハルト元大統領の下で汚職が深刻化し、司法機関も腐敗が指摘されていたため、独立した捜査機関が必要だとして設立された経緯がある。容疑者の盗聴から逮捕、起訴までを遂行する権限を持ち、これまでにユドヨノ前大統領の親類や与党幹部、閣僚、政府高官らの汚職を追及してきた。昨年は汚職事件で計261人の容疑者を立件、国民の信頼は厚い。

 改正法の成立後、国会前では大勢の市民らが抗議の声を上げた。参加したアスフィナワティさんは「改正法は、(KPKが捜査対象とする)議員を利するだけで、国民目線ではない。汚職を減らすといって再選したジョコ大統領も、うそつきだ」と批判した。

 一方、KPKの強力な権限には懸念の声も以前からあり、国会で法改正を目指す動きは初めてではなかった。今回の改正について、地元の大学で法学部長を務めるスラメット・プリバディ氏は同日、「政治的な仕返しに盗聴が乱用されることのないよう監督評議会は必要だ」として、支持する声明を出した。(ジャカルタ=野上英文

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