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 プロ野球DeNAの山崎康晃投手(26)が、2年連続でセ・リーグ最多セーブのタイトルを獲得することが、確定した。その投球スタイルは、基本的に亜細亜大学時代に確立された。本人が「ひたすら訓練された」と振り返る取り組みとは――。

 プロ5年目の今でも、山崎は内野にゴロが転がれば、たとえ一塁ベースカバーに入らなくても、送球の延長線上に走る。「コーチから何回も『あれは疲れるから、やめた方がいいんじゃないか』と言われるんですけど、逆に投げた後、どこにいていいのか分からないんです。体が勝手に反応するので」

 東京・帝京高からプロ入りをめざしたが、高校3年秋のドラフト会議で、指名されなかった。気持ちを落ち着かせた後、誘われていた亜大で投球練習を再開したが、途中で泣き出した。その姿をそばで見ていた亜大の生田勉監督(53)は、「それほどプロに行きたかったのでしょう」。4年後にドラフト1位でプロ入りさせることを約束したが、一方で「1週間ぐらいで、やめてしまうのでは……」とも思っていた。

インステップを生かす

 山崎の投球フォームは、着地した左足が、他の投手よりも右打者の方に向く「インステップ」が特徴だ。そこでまず取り組んだのは、足首を柔らかくすることだった。

 両足のかかとをくっつけた「ハの字」で立ち、肩幅より少し広げる。その姿勢のまま、ステップをせずにキャッチボール。時に内側の両くるぶしが、地面に接するほどひねる。柔軟運動を兼ねたこの練習を、ブルペンで投球する前後に行ったという。

 インステップは、他の投手よりも体を回して投げる必要があるため、体のキレや股関節の柔らかさも求められる。生田監督は選手たちが外野でランニングをするとき、山崎だけスパイクを履かせた。「下が不安定なところで」と、トランポリンの上でシャドー投球をさせたこともある。当初は周囲から「やめてしまうのでは……」と心配された山崎は「特別なことをやって、鍛えて勝つのが、楽しくなってきたんです」。

1イニングを全力で

 特徴的な投球フォームはプロ入り後、すぐに抑えを任されるきっかけにもなった。

 体への負担も大きいインステップは、疲れてくると球がシュート回転し、打者にとらえられやすくなる。山崎は入団直後、開幕を迎えるまでは、先発を任されることもあった。だが、打ち込まれた。そこで「試合の中盤に球威が落ちるのなら、1イニングを全力で」という判断のもと、当時の中畑清監督(65)が、抑えへの転向を決めた。

 1年目からチームの勝利を締めくくる立場を任された山崎は、自身の投球を「体もそこまで大きくないし、球種も少ない。長所は『抑えたい』という気持ちぐらい」と言う。その心境に至るまでには、プロ入り後の練習環境と周囲への感謝はもちろんのこと、大学時代に築いた土台への自信も、感じさせる。(井上翔太)

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