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 サウジアラビアの石油施設への攻撃を受け、原油価格が高騰した。日米などは備蓄分の放出に言及して供給不安の沈静化を図るが、サウジの生産能力回復に時間がかかるとの見方も出ており、世界経済への影響が懸念されている。

 週明け16日のニューヨーク商業取引所では、原油価格の指標とされる「米国産WTI原油」の先物価格が前週末比14・7%高い1バレル=62・90ドルと、約4カ月ぶりの高値水準で取引を終えた。一時は同15・5%も急騰し、米メディアによると2008年末以来の上昇率となった。

 原油の国際指標の一つである北海ブレント原油の先物価格も16日には一時、前週末比20%近く急騰し、終値は同14・6%高い1バレル=69・02ドル。17日には65ドル台に値を戻す場面もあった。

 14日にあった石油施設2カ所の爆撃で、サウジ国営石油会社サウジアラムコは生産量の半分にあたる日量約570万バレルが供給停止となった。世界の1日の生産量の5%超にあたる量だ。

 国際エネルギー機関(IEA)は即日、「十分な在庫がある」と声明を発表。トランプ米大統領は15日、ツイッターで「必要に応じて戦略石油備蓄から、市場に十分な供給が行き渡る量を出す」と投稿した。

 菅原一秀経済産業相は17日の閣議後会見で、国内備蓄は官民合わせて国内消費量の約230日分あるとし、「IEAや各国と連携し、必要があれば備蓄の協調放出なども通じて必要量を確保したい」と述べた。石油対策本部の初会合を開き、石油の安定供給に与える影響や石油市場の動向を把握し、IEAや関係国と連携することを確認した。

 サウジ側はまだ復旧見通しについて明らかにしていないが、ロイター通信は17日、関係者の話として「2~3週間で復旧する」と伝えた。これを受けて、WTI先物価格は一時、1バレル=60ドルを割り込んだ。米紙ウォールストリート・ジャーナルは、サウジ当局が、年内にも見込まれていたサウジアラムコの株式上場の延期を検討中と報じた。(和気真也=ロンドン、江渕崇=ニューヨーク、伊藤弘毅)