土屋亮
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老朽化して誰も住まなくなった分譲マンション。10月にも行政代執行で取り壊される=滋賀県野洲市
ずさんな管理のまま老朽化する分譲マンションの「終活」が課題になっている。滋賀県野洲(やす)市は今月下旬にも、だれも住まなくなった建物の解体に踏み切る。私有財産の処理に巨額の公金を費やす極めて異例の事態だ。
琵琶湖の南岸にある野洲市は京都や大阪にも通える人口5万人のベッドタウン。幹線道路沿いの築47年の分譲マンションを訪ねると、外壁や屋根がはがれ、鉄骨がむき出しになっていた。
3階建て全9戸で、10年以上前から空室が続き、近年急速に劣化が進んだという。隣に住む宮田三夫さん(69)は「台風などで強い風が吹くと、いつ崩れてくるかと怖くて仕方がない」と言う。
市はアスベスト対策も含め、約1億円かけてこのマンションを取り壊す。集合住宅の場合、解体には原則、所有者全員の同意がいるが、所有者9人のうち解体に同意したのは3人。行方不明を含めて明確な意思表示がない人が多数を占める。山仲善彰市長は「危険な状態を放置できない」と行政代執行の理由を説明する。事後に所有者に費用を請求する方針だが、管理組合はなく、修繕積立金もない。いくら回収できるかは見通せない。
国土交通省の推計では、2018年末で築50年超の分譲マンションは国内に約6万戸。今後急増し、28年末には80万戸を超すという。世帯主の高齢化も進み、18年度で半数が60歳以上だ。
「建設から50年を過ぎると、…
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朝日新聞社会部