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 仙台東署東仙台交番で、勤務中の警察官が男子大学生(当時21)に刺殺された事件は、19日で発生から1年を迎えた。「ずっと続いていくはずだった私たちの生活を返して――」。亡くなった清野裕彰警部補(当時33)の妻と父親が手記を代理人を通じて公表し、日常が突然奪われた胸の内を明かした。

失われた日常 心境明かす

 事件があったのは、昨年9月19日午前4時ごろ。交番で当直勤務中だった清野さんを大学生が刃物で刺し、清野さんは失血死した。大学生は射殺された。

 この日は、清野さんの3回目の結婚記念日だった。30代の妻は「まさかこんなことになるとは夢にも思っていなかった」。何で、あの日、あの時間だったんだろう、何で裕彰さんだったんだろう。「ただただ夫、裕彰を返して欲しい、帰ってきて欲しい」。いまだに清野さんがひょっこり帰ってくるような気持ちになるという。

 清野さんには、当時1歳半の双子の娘たちがいた。この1年でおしゃべりも上手になり、すっかりお姉さんになった。「どんどん自分でできることが増え、成長を喜ばしく思う一方、一緒に子育てをしていくはずだった父親がいないことがとても悲しい」。やりたいことも行きたい所も、全部これからだったのに――。清野さんは不器用なりにも一生懸命に子育てをしていた。「きっと良いパパになったんだろうな。悔しくてしかたがありません」

 事件後、多くの人から夫の話を聞くと、慕われて愛されていた人望の厚い姿が浮かんだ。「生きている時にその話を聞きたかったな。悲しい、寂しい、会いたいです。帰ってきてくれないかな…」

 60代の父は、事件の前に清野さん夫婦が2人の孫娘を連れて帰ってきた時のことを覚えている。清野さんは、妻に先立たれた父の身を案じ、「健康にくれぐれも気を付けてね。また来るからね」と声をかけてくれた。それが最後の会話になった。

 孫娘2人が物心がついたら、「パパは警察官として皆に愛され、地域住民のため平和で安心な生活ができるよう立派に働いて、殉職した」と教えるつもりだという。それを「辛(つら)い事です」とも明かした。

 父は事件を受け、警察官が、生と死の隣り合わせで勤務していることを改めて感じたという。「息子は、その警察官を愛した男でした。もし、息子が生まれ変われた場合は、同じ警察官になると思います」。そして「せめて再発防止を、私たちと同じ思いをする人たちがいなくなることを望みます」と結んだ。

 また父は、大学生の家族から謝罪や連絡がないことに触れ、「この事件の重さを感じていただきたいし、人として心ある行動を望んでいます」と求めた。

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