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 台風15号による停電のなか、房総半島南端の医院で小さな命が生まれた。発電機とライト一つだけの出産。嵐や暑さに耐えた母親は「支えてくれる人たちに感謝できる子に育って」とわが子に語りかける。

 18日朝、千葉県館山市の鈴木里穂さん(27)は生後1週間のわが子をそっと抱いた。腕の中で小さくほほえむ赤ちゃんに、「かわいいね」と話しかけた。

 台風が迫る8日午後8時、里穂さんは同県鋸南(きょなん)町の実家で産気づき、夫悠紀さん(30)と館山市の産婦人科医院へ向かった。入院した深夜、猛烈な風が急に吹き始めた。閉めた窓から水が漏れ、ベッドがぬれた。9日未明、停電で明かりが消えた。看護師が駆け寄ってきた。陣痛促進剤を投入する予定が停電のために見送られ、自然分娩(ぶんべん)を待つことになった。「大丈夫。すぐ電気つくよね」と、さほど気にとめなかった。

 「看護師が出勤できません」。朝になっても停電が続き、院内でそんな声が聞こえた。携帯電話の電波は入らず、両親と連絡も取れない。不安になり、「こんな状態で産めるんですか」と看護師に何度もたずねた。

 胎児の様子をみるエコーや陣痛の間隔を計る装置も使えない。紙とペンを渡され、陣痛を感じる度に自分で時刻を記入した。院内は暑く、保冷剤を渡され、自分でうちわであおいだ。

 再び夜が来た。夫には翌朝6時…

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