[PR]

 順天堂大は8月、かいてもかいても治まらない「かゆみ」の克服を目指す日本初の研究拠点「順天堂かゆみ研究センター」を同大浦安病院(千葉県浦安市)に開設した。従来の薬が効かないアトピー性皮膚炎や人工透析などで起こる難治性のかゆみの仕組みを解明し、臨床に生かすという。

 高森建二センター長によると、これまで「弱い痛み」と思われてきたかゆみは、痛みと原因も神経経路も違うことがわかってきた。なかでも、かゆみの主な原因である化学物質「ヒスタミン」以外で起こる難治性のかゆみは抗ヒスタミン剤が効かず、原因解明が急がれている。

 高森さんらの研究で、アトピー性皮膚炎のかゆみは「セマフォリン3A」というたんぱく質が表皮で欠乏することが原因とわかった。このたんぱく質は神経が伸びるのを抑える働きがあり、通常は表皮に神経が伸びてこないようにしているが、欠乏すると神経が表皮に伸び、わずかな刺激にも反応してかゆみを発生させていた。このたんぱく質を表皮に与えることで抑制できるという。

 透析患者を襲うかゆみも、「カッパーオピオイド系」のたんぱく質が血液中で減ったことが原因だった。これを薬で補うことでかゆみを抑制できた。

 今後がんが原因で起きるかゆみなども解明していく。高森さんは「かゆみは不眠やうつを誘発し、痛みより影響が大きいこともある。一般の病院で治らないかゆみに苦しむ患者の治療に当たりたい」と話す。(三嶋伸一)