[PR]

 20日開幕のラグビー・ワールドカップ(W杯)。東日本大震災で津波が直撃して全壊した小・中学校の跡地に建てられた岩手・釜石鵜住居復興スタジアムでは2試合が開催される。日本のW杯にとって、何より大事なメッセージを発信する機会になると思う。

 釜石市でのW杯開催について、被災者の中に「復興が優先されるべきだ」という感情はあった。その心に変化をもたらしたのは「生きる目標がほしい」「子どもたちの希望に」と地道に招致を続けた地元の人々らの熱意だった。

 W杯前には同市内に高速道路や鉄道が整備された。「復興とW杯は両輪」という住民の声を聞くと、ラグビーW杯や来年の東京五輪・パラリンピックは単なるスポーツ大会ではなく、街が変わる契機になるのだと実感する。

 釜石は未来への希望と同時に課題も背負う。約48億円で整備したスタジアムをW杯後にどう活用するのか。赤字を垂れ流せば、結果的に市民の負担となって跳ね返る。自治体や競技団体には地域にスポーツが根付くための種をまき、丁寧に育てていく責務がある。

 大会はゴールでなく、スタート。その思いを胸に開幕を迎えたい。(野村周平)