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【アピタル+】患者を生きる・眠る「むずむず脚症候群」

 昼夜を問わず、脚のむずがゆさに悩まされる「むずむず脚症候群」。睡眠不足の原因になったり、椅子に長時間座ることが苦痛になったりします。まだ認知度が低く、病気と気づかずに悩んでいる人もいるようです。多くの症例を見てきた睡眠総合ケアクリニック代々木(東京都渋谷区)の井上雄一理事長に、受診の目安や治療法を聞きました。

――むずむず脚症候群はどのような病気ですか。

 睡眠時や静かに椅子に座っている時、ふくらはぎの内側にむずむずを感じる病気です。脚の中で虫がはっているようだ、と表現する人もいます。夕方から夜間に症状が悪化することが多く、睡眠に影響しがちです。

 脚に力を入れたり動かしたりすると和らぎます。病気と気づかないうちは自分で突起のついた踏み板を買って踏み、症状を和らげる人が多いです。

写真・図版

――患者はどのくらいいるのでしょう。

 国内で治療が必要な患者は約70万人と推計されています。女性のほうが多く、男性の1.5倍います。年齢とともに増える傾向で特に60代、70代に多くみられます。高齢者は症状が急に進むケースが多いです。

 一方で若い人も発症することがあります。当院には6歳未満の患者も月に1人程度いらっしゃいます。若い患者は遺伝的背景をもつことが多く、進行もゆっくりという特徴があります。

――原因は何でしょう。

 鉄欠乏性貧血だったり、慢性腎不全で人工透析を受けていたりする場合や、糖尿病の人などに起こりやすいとされていますが、よくわかっていません。病気のメカニズムは、脳の神経伝達物質であるドーパミンの働きがうまくいかないことが影響している、とも考えられています。

精神科や睡眠の専門医へ

――どのように治療しますか。

 薬物療法を行います。ドーパミンに似た働きをする成分を、のみ薬や貼り薬で取り込んだり、体内でドーパミンをつくるのに必要な鉄剤を飲んだりします。

 生活習慣の改善も効果があります。カフェインを含むコーヒーやお茶を飲み過ぎたり、生活が不規則だったりすると、症状が悪化しやすいからです。寝る前の散歩や脚のマッサージである程度症状を抑えることもできます。寝る前の激しい運動は逆に症状を悪化させます。

――むずむず脚を疑ったらどうしたらよいでしょう。

 週に2回以上症状が出るようになると、日常生活に影響が出始めるため、治療を始める目安になります。むずむず脚症候群の認知度が高まってきた半面、下肢静脈瘤(りゅう)や向精神薬をのんだことによる脚の不快感を、誤って診断したり、薬の使い過ぎによって症状が進行したりする例もあります。

 気になる場合は、神経内科、精神科や睡眠の専門医を訪ねてください。むずむず脚に詳しい医療機関を紹介する学会などの仕組みは今のところなく、受診前に診療できるか確認したほうがいいでしょう。

◇ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください。

<アピタル:患者を生きる・眠る>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(聞き手・三上元)