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 未来に共有していきたい画像や映像を公開できる資料として残す「デジタルアーカイブ」と、「肖像権」との折り合いをどうつけるのか。自治体や研究機関などが悩むこの問題に、民間の指標を作る動きが始まった。肖像権に詳しい弁護士らが26日、東京で開いた160人ほどの会合でガイドライン案を公表し、議論を始めた。

 災害の記録を防災に役立てるだけでなく、古い日常の写真から地域の歴史や文化を残して共有するなど、デジタルアーカイブへの関心は官民で高まっている。壁になるのが肖像権だ。勝手に撮影されたり公開されたりしない権利だが、明確に定めた法律はない。

 宮城県の「東日本大震災アーカイブ宮城」がネット上で公開する震災直後の様子を伝える一枚は、おにぎりを食べる約20人全員の顔をぼかしてある。担当者は「表情も見えた方が資料としての価値もあるが、公開の参考にできる指標がなく、一律に隠さざるを得なかった」と話す。

 示されたガイドライン案では、点数によって「公開可」「マスキングが必要」などと分類する。政治家ら公人なら20点、16歳未満ならマイナス20点というように、被写体の社会的地位や撮影状況などに応じてポイントを足し、目的に応じて判断する。案をとりまとめた数藤雅彦弁護士は「公開はそれぞれの事情に応じて決めるべきだが、点数で基準を『見える化』し、みなで目安を作りたい」と話す。今年度中に2回目の会合を開き、詳細を詰める。(上田真由美)