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 プロのテニス選手にとって、ラケットは大切な「商売道具」。体の一部も同然で、それゆえこだわりも千差万別だ。4大大会の女子シングルスで2勝、世界女王返り咲きを目指す大坂なおみ(日清食品)の場合は、どうか――。そこには二人三脚で歩んだあの人物の影響が色濃くみてとれる。

 大坂が使っているのは、日本メーカーのラケット。市販品とは違い、重心などが調整された特注の1本だ。プロともなれば、ストリング(糸)がすり減る前に張り直すのも常識。ショットの成否に関わるため、その土地や気候に合わせた微調整も欠かせない。

 9月22日まで大阪市で開かれた東レ・パンパシフィック・オープンで、大会の公式ストリンガーを務めた長谷部健二さん(52)によると、大坂からは「試合前に2パターンのテンション(強さ)でストリングを張るよう注文が入った」という。

 多くの選手は、試合に持ち込むラケットのテンションを一定にそろえる。ところが、状況によって使い分けるためか、大坂からは球が飛びやすくなる緩めのテンション、飛びにくい強めのテンションをそれぞれ求められた。打感の好みもあるのだろう。縦横ともに硬くて飛びにくい化学繊維のストリングを張る選手が多いが、大坂が選ぶのは、縦に化学繊維、横は柔らかくて飛びやすい天然素材という組み合わせだった。

 ただ、テンションや張り直しの頻度について、最初からこだわりが強かったわけではない。姿勢が変わったのは、2017年オフにサーシャ・バイン氏がコーチに就いてからだという。今年1月に全豪オープンを制して2人は関係を解消したが、大坂はストリングに関して「バイン流」を貫いているようだ。

 技術や体力のほかに、手先の感覚も問われるテニス。来夏の東京五輪で、大坂の好みがどう変わったかに注目してみるのも面白い。(内田快)