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 台風15号が直撃した千葉県で、特産品の深刻な被害が明らかになってきた。関東一の出荷量があるカーネーションは、一大産地で温室ハウスが軒並み壊れ、長引く停電も追い打ちをかけている。全国2位の収穫量で、「皇室献上品」として明治時代からの歴史があるビワは、壊滅状態だ。

 房総半島南部。南房総市富浦町の平野部には、約50棟の温室ハウスが並ぶ。「青木カーネーション団地」と呼ばれる一大産地だ。20日に記者が一帯を歩くと、ハウスの屋根ガラスは大半が割れ、カーネーションの根元にも散乱していた。

 台風に見舞われたのは、10月中旬からの収穫期を目前にした時期。ガラスを片付けていた3代目農家の岩田秀一さん(42)は「壊滅的な状況。笑うしかありません」とうなだれた。来春までに50万本を東京などに出荷する予定だった。冷え込みが始まると、無事だった苗も枯れてしまう。屋根ガラスの張り替えを業者に問い合わせたが、費用は数千万円。業者も人手が足りず「数カ月先まで対応できない」と言われた。

 ハウス沿いの電柱は倒れたまま。電気を使う水まきや消毒液の散布ができず苗の成長に響いている。

 「台風の被害は毎年あるが、こんなにひどいのは初めて」。40年以上、カーネーション栽培を続ける安西弥生さん(72)はそう話した。

 安西さんや、岩田さんのハウスがあるカーネーション団地は1972年、12軒が組合をつくってスタートさせたもの。現在は10軒で、年間約450万本を出荷してきた。今回の被害額は数億円規模にのぼるとみられる。安西さんは「徐々に栽培数を増やしてきたのに、振り出しに戻った。がっかりでしかないが、前を向くしかない」。

 同じ南房総市富浦町の山間部。19日、農家の和泉沢利幸さん(73)は、変わり果てた畑を見て「こんなになるとは思わなかった」と絶句した。ビワの木が生い茂る山の斜面。そのほとんどが折れたり、根こそぎ倒れたり。無事に見えたものでも、ビワの実に栄養を送りこむ葉がすっかりなくなっていた。

 和泉沢さんの先祖がこの地でビ…

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