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 大型の台風17号は22日、九州を暴風域に巻き込みながら東シナ海を北上した。夜には九州北部地方に最接近して対馬海峡を通過し、勢力を保ったまま日本海を北東に進む見込みだ。気象庁は強風や大雨への警戒を呼びかけている。

 気象庁によると、台風17号は22日午後3時時点、長崎県五島市の西南西約80キロを時速約30キロで北北東に進んでいる。中心気圧は975ヘクトパスカル、最大風速は30メートル。最大瞬間風速は45メートル。宮崎県西米良村では正午までの24時間降水量が417・5ミリに達した。長崎市の野母崎では午後5時半ごろ、最大瞬間風速39・1メートルを観測した。

 宮崎県延岡市では22日午前8時40分ごろに突風が吹き、JR延岡駅構内で鉄塔が倒れたり、積んであったコンテナが崩れたりした。九州電力宮崎支社によると、突風に伴う電柱などの被害で同市内で一時、約3240戸が停電した。JR日豊線は午前11時半現在、佐伯(大分県佐伯市)―日向市(宮崎県日向市)間で運転を見合わせている。

 JR貨物によると、駅構内にある高さ約30メートルの照明用の鉄塔が倒壊したほか、構内に置いていた空のコンテナ18個が吹き飛ばされ、うち2個が近隣の民家に当たった。コンテナは幅約2・45メートル、長さ約3・7メートル、高さ約2・5メートル。重さは約1・8トンという。

 鉄塔が倒れる様子を家の中から目撃した近くに住む男性は、右手のひらを丸めるしぐさをしながら「ブワーとやってきた突風で、鉄塔がぐにゃりと曲がってから倒れた」と話した。

 延岡駅に近い延岡市萩町では、突風で家の屋根瓦の一部が飛ばされたり、飛来物で乗用車のガラスが割れたりする被害もあった。

 延岡市桜ケ丘3丁目の満留忠雄さん(75)方は突風で玄関付近の屋根を半分飛ばされた。同居中の長女が午前8時40分ごろ「今まで聞いたことのない風の音」に気付いて起きた。ガタガタという異音は徐々に大きくなったが、1分も続かなかったという。長女に起こされた満留さんが玄関奥の客間をのぞくと「空が見えた」。クリーニング後に掛けていた衣類が部屋中を舞い、クルクル回って屋根の上へ。ガラスも5枚ほど割れた。満留さんは「何が起きたか分からなかった。30年は住んでいるが、風雨の被害は初めて」と驚いた。

 延岡市出北5丁目のガソリンスタンド「キーレックス出北CS」では午前9時前、北西の上空で濃い灰色の雲が渦巻いているのをスタッフらが目撃した。雲は回転しながら南から北へと移動していったという。

 柳田ゆき店長(43)は「静かな雨から急に突風が吹き雨風が激しくなったので空を見上げた。雲は綿菓子を作る時のような巻き込む形で、1分も経たずに見えなくなった」と話した。

 延岡駅前通り沿いの「大衆理容レーヨン店」によると、午前8時45~50分ごろ、沿道の植木が風でなぎ倒された直後に突風が吹いて店先のテントがはがされ、テントを留めていた壁も手前に浮いた。同時に停電して暗くなったため、散髪中の客2人には帰ってもらった。畦原厚志店長(66)は「ドーンと大きな音がして怖かった。客も驚いていた」と振り返った。

 延岡駅東口に事務所を構える延岡日向宅建協同組合では、1階の大ガラス(縦約3メートル、横約1・5メートル)が2枚割れ、1枚にひびが入った。3階の壁も1・8メートル四方が破れ、向かいの看板もねじ曲がった。事務所は留守で負傷者はいないが、屋外からの風圧でエアコンが壊れたという。清山和美所長(62)は「うちの前の通りを竜巻が通ったのでは」と顔を曇らせていた。(菊地洋行、渕沢貴子、吉田耕一)

長崎では空き家半壊

 長崎市愛宕4丁目の急斜面の住宅地で22日午後、空き家1棟が半壊した。長崎県警に午後3時10分ごろ、「どーんと音がした。隣の空き家が崩壊した」と近くの女性から届け出があった。けが人はいないという。長崎地方気象台によると、長崎市を含む県南部は22日昼過ぎに風速25メートル以上の暴風域に入っていた。(横山輝)

動植物園閉園やイベント中止相次ぐ

 台風17号の接近にともない、22日は福岡市内でも動植物園の閉園や屋外イベントの中止が相次いだ。

 JR博多駅前では、ラグビーワールドカップ(W杯)の試合のパブリックビューイングなどが予定されていたが、中止に。最新のテクノロジーやeスポーツなどを体験できる屋外イベントも取りやめになった。

 福岡市中央区の市動植物園も22日は臨時休園になった。3連休で多くの来園が見込まれたが、動物園の担当者は「来園者の安全確保を最優先した」。この日に予定していた動物慰霊祭は23日午後2時半に延期したという。(渋谷雄介)