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 私たちの日々の食を支える卸売市場が、全国で苦境に立たされている。ネット通販や産直販売に押されて取引が減っているためだ。公設市場の民営化で打開を図る自治体も出てきたが、思い通りにいかない例も目立つ。これからの食をどう守っていけばいいのか。

 農家が育てた野菜などの農産物、漁協が出荷した魚などの海産物は、卸売市場のセリで卸売業者から買い付けた仲卸業者を経由し、スーパーや飲食店に売られて消費者に届くのが一般的な流れだ。その市場を来年6月から民営化しようと計画しているのが大津市だ。

 午前5時過ぎ。大津市の公設地方卸売市場の一角に、イカやタコ、シジミなどが並んだ。卸売業者のところに、仲卸業者らが次々と受け取りに来る。

 市場と言えば威勢のよいセリが印象的だが、最近は、あらかじめ卸売りと仲卸で価格や数量を決めておくので、取引は静かなものだ。仲卸業者は台車などで市場内にある店舗に移し、さらに小分けにして約88万人が住む県内8市のスーパーなどに運ばれる。

 大津市の仲卸業者「かねつ食品」は、保育園や老人ホームなどに食材を卸す。扱う食材は約1千種類。納豆は10、豆腐は5のメーカーの食材から選ぶ。安全性を示すため、商品の成分表や細菌の検査表も添付。上野隆司社長(68)は「我々は良い食材を消費者に提供する『目利き』」と言う。

 大津市で仕出しなどを作る「初駒」の店主松田宏人さん(66)は毎日市場の仲卸業者から魚や野菜を仕入れる。買う時は値段を聞かない。「信頼感。安全で高品質の物をそろえてくれるから」。市内で小さな商店を営む嶌賢一さん(63)も「大量の食材を用意できる。急な注文も融通がきく」と市場の役割を話す。

 ただ、市場内では空き店舗が目立つ。1988年の開設当初に20近くあった水産の仲卸業者は半減。つくだ煮や漬物など加工品を扱う仲卸業者は4分の1になった。ある水産の仲卸関係者は「もう時代の流れには逆らえない」と嘆く。

 市によると、かつて琵琶湖近く…

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