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 これから20回の連載で泌尿器科の病気についてお話をしていきます。今回はその第1回ですので、泌尿器科で扱う病気全体の説明をします。ホルモンを作る副腎や腎臓、尿管、膀胱(ぼうこう)、前立腺、尿道という、尿を作って体外に排出するまでの一連の臓器(腎・尿路系)に発生する病気を扱うのが泌尿器科の大きな役割の一つです。

 副腎は腎臓の上のほうにある小さな臓器ですが、アルドステロンやコルチゾールなど生命維持に必要不可欠なホルモンを作っています。副腎に腫瘍(しゅよう)ができると血圧が高くなったり、血糖が高くなったりします。このような場合には手術が必要になりますが、腹腔(ふくくう)鏡手術が進歩したので、開腹手術よりも小さな傷で手術できるようになりました。

 副腎の下には腎臓があります。腎臓は、①尿を作る②血圧を調整する③貧血にならないように造血ホルモン(エリスロポエチン)を作る④骨を丈夫にするビタミンDを活性化する――など、非常に重要な働きをする臓器です。腎臓の働きが悪くなると、血液透析、腹膜透析、腎移植などの治療が必要になります。

 腎臓で作られた尿は、尿を集める「腎盂(じんう)」、尿を膀胱まで送る「尿管」、尿をためて排出する「膀胱」、尿を膀胱から体外に導き出す「尿道」という尿路を通って体外に排出されます。尿路には石(尿路結石)ができることがありますし、細菌が繁殖すると腎盂腎炎、膀胱炎などの尿路感染症が起きます。

 男性と女性の骨盤の中には大切な臓器がたくさんあります。男性の膀胱の下には前立腺があり、尿道は前立腺の中を貫通するように通っています。前立腺では精子の生きを良くする体液(精液)を作ります。前立腺肥大症や前立腺がんなどで前立腺が大きくなると尿道を圧迫するため、排尿困難や頻尿などの症状が出ます。

 このような症状も臓器の仕組みがわかると理解しやすいと思います。男性の陰囊(いんのう)の中には精巣(睾丸)があります。精巣は男性ホルモン(テストステロン)を作りますが、加齢によってテストステロンが低下すると男性にも更年期障害が出ます。

 また、過活動膀胱など女性の膀胱と尿道の病気も泌尿器科で扱います。高齢の女性では、子宮が下がる骨盤臓器脱になる場合があります。尿漏れ(腹圧性尿失禁)を伴う場合もあり、女性の骨盤臓器脱も泌尿器科で扱います。

 がんは体のどの臓器にも発生する可能性があります。腎・尿路系の臓器にできるがんの中で頻度が高いのは、前立腺がん、膀胱がん、腎がんなどです。もちろん、腎盂や尿管、尿道、副腎、精巣にもがんはできますが、頻度はそれほど高くはありません。精巣がんは20~40代の若い男性に起こりやすいので、要注意です。

 また、小児では停留精巣、先天性水腎症、膀胱尿管逆流症などの病気も多く見られます。以前は性病と呼んでいた淋病、クラミジア感染症、梅毒などは性行為感染症と呼ばれるようになりましたが、抗生物質に抵抗性の病原菌も出てきましたので、注意が必要です。

 次回以降、それぞれの病気や症状について詳しく説明していきます。

<アピタル:弘前大企画・知って得する 泌尿器科の話>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/hirosaki/(弘前大学大学院医学研究科泌尿器科学講座教授 大山 力)