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 2020年東京パラリンピックは参加国・地域数で史上最多を目指す――。自国のパラアスリート強化に力を入れる日本体育大が、海外アスリート支援にも乗り出している。過去最多は12年ロンドン大会の「164」。競技環境が整っていない国々をサポートするなど国の枠を超えた取り組みで、自国大会の盛り上げを担う。

 9月中旬、7日間の日程で同大横浜・健志台キャンパスで開かれたパラ陸上のトレーニングキャンプ。パラリンピック未参加のブータンや競技環境が整っていないザンビア、マラウイなど10カ国の選手や指導者計23人が参加した。短距離と投てきの各ブロックに分かれ、日本パラ陸上のコーチらから技術やトレーニングの指導を受けた。

 生まれつき体の色素がない遺伝子疾患「アルビノ」で視覚障害がある女子400メートルのモニカ・ムンガ(ザンビア)は、ストライドの広げ方やペース配分などの助言を受けた。ザンビアはパラリンピックに招待出場枠「ワイルドカード」で出場したことがあるが、参加標準記録を突破した選手はいないという。ムンガは「学んだ走りの技術を磨き、パフォーマンスをさらに高めていきたい」。実力での東京大会出場を見据えている。

 パラ参加国・地域拡大支援を目的としたこの取り組みは、スポーツ国際貢献事業として国からの委託を受けた同大が17年に始めた。今年1月には北海道・網走で強化合宿を実施した。

 陸上部にパラアスリートブロックを発足させるなどパラアスリートを強化する一方、他国のサポートも担う理由について同大事業担当の兼本智仁さんは「五輪とともにパラスポーツの発展も体育大学として担わないといけない」と説明。パラリンピックをきっかけに、パラスポーツの認知度向上にも期待を寄せている。

 強化は選手だけにとどまらない。指導者育成にも力を注ぐ。20年大会以降、それぞれの国でパラスポーツの持続的な発展を担うのは指導者であるという考えからだ。渡航費などを負担し、コーチ11人にも参加してもらった。日本パラ陸上の原田康弘テクニカルディレクターは「コーチに必要なのはどんな選手にも合わせられる指導のノウハウ。引き出しを増やして欲しい」。参加したザンビアのクリスピン・ムワレコーチは「指導者は選手のメンターであることを改めて学んだ。意思疎通を大事にしながら、選手の能力を伸ばしていきたい」と話した。(榊原一生)