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 若者に人気のブレークダンス(ブレイキン)で日本の「AMI」が世界で快進撃を続けている。6月に初代世界女王に就くと、今月も主要な大会で優勝した。2024年パリ五輪の正式種目に内定しており、「自分のスタイルで挑戦したい」と視線を向ける。10月16日には朝日地球会議2019のセッションに出演してパフォーマンスを披露する。

相次ぎ金メダル

 AMI(湯浅亜実〈20〉、駒沢大3年)は今年6月、第1回ブレイキン世界選手権(中国・南京)の女子個人で優勝した。今月14日には、世界選手権上位入賞者らが出場した第1回世界アーバン大会(ハンガリー・ブダペスト)でも金メダルを獲得。8月は大会やダンスの撮影で、オーストリア、スイス、オランダを回った。今月末には台湾に飛んで大会審査員を務める予定で、世界で活躍を続けている。

 学業でも忙しいなか、9月22日に渋谷であったイベントにチームの一員として出演した後、朝日新聞の取材に応じた。

 「KATUS 1(カツ・ワン)」として日本のブレイキンを牽引(けんいん)するとともに、AMIら若い世代を指導してきた、石川勝之・日本ダンススポーツ連盟ブレイクダンス部長は「男子顔負けの大技を多数持つだけでなく、一つ一つの動きやフォームが繊細で素晴らしい。『緊張する』といいながら、現場ではいつも堂々としていて精神面も強い」と評価する。

パリ五輪「自分のスタイルで」

 パリ五輪では、ブレークダンスの採用が内定している。石川さんは「5年先になるが、AMIが五輪に照準を合わせたら有力な存在になる」とみる。AMI自身は「これまで大きな目標は立てずに、1個先のイベントに焦点を当ててきた。5年先のパリは実感がないけど、自分のスタイルを変えずにどこまで行けるのか挑戦したい」と話す。

 自分のスタイルとは。「常にかっこよくがテーマ。ダンスだから、スポーツの面だけではなくアートとしてもかっこいいようにベストを尽くしています。勝負に負けたとしても、見る人にインパクトを残せるダンスをしたい」

 小学5年でダンスを習い始めたとき、ブレークダンスの技の一つ、背中や肩を支点に体を回転させるウィンドミルを見て憧れた。大技を覚えるごとに得られる達成感がくせになった。「いまはがんばると、新しい国や地域に行けるので、そこで新しい人に会えるのが楽しくて続けている」という。

裾野広く有望選手続々

 活躍しているのはAMIだけではない。

 世界選手権では男子個人で「ISSEI」(堀壱成)が銀、世界アーバン大会では男子個人で「Shigekix」(半井重幸)が4位、女子個人で「AYANE」(半井彩弥)が5位入賞した。

 石川さんによると、ブレークダンスの起源は1970年代初頭の米ニューヨーク・サウスブロンクス。ギャングの殺し合いの代わりに音楽で勝負する「バトル」が始まった。クラブなどを通じて若者にブレークダンスが浸透。80年代には日本やフランスにも伝わった。「日本はブレイキンが入ってきたのが早いうえ、各世代がきちんと次へつないできた。ダンス教室で習う子どもも多い。海外と比べて裾野が広がっている分、有望選手も出やすい」と分析している。

障害や性別を超えて

 ブレークダンスのイベントでは、男女の差や障害の有無を超えてダンスを楽しむ。AMIは「ほかのスポーツとは違うカルチャーがある。障害があっても、年が離れていても、それがその人のキャラクターとしてみんなが受け入れる。ガツガツ踊っても、楽しく踊っても全部自由」と話す。日中、日韓など国際関係が悪化しても「いざその国に行って踊ったらみんな友だち。どこの国の人じゃなくて、私とあなた。ハンガリーでも韓国の子と一番一緒に街を回ったよ」と話す。

 石川さんも「ブレークダンスを生んだヒップホップ・カルチャーの合言葉は『ピース、ユニティ、ラブ、アンド、ハビングファン(平和、団結、愛、楽しんで)』。どんな違いも超えていける。パリでは、五輪とパラリンピックに分けることなく、健常者と障害者が同じステージに立てるようにとIOC(国際五輪委員会)に提言していくつもりです」と語っている。

(フォーラム事務局・曺喜郁)

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 朝日地球会議は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」などの課題を考える国際シンポジウム。AMIらが出演するセッションでは、性別や障害などの違いを超えてだれもが共存できる多様性社会をテーマに話し合う。AMIらトップレベルのダンサーのほか、障害のある若者らがダンスでメッセージを伝える。

 このセッションを含むプログラムは10月16日(水)午後3時50分~6時10分、東京・日比谷の帝国ホテル。参加無料。詳細と申し込みは朝日地球会議の公式サイト(http://www.asahi.com/eco/awf2019/)から。9月29日締め切り。